1985 Fiscal Year Annual Research Report
糖蛋白質糖鎖の癌性変化を応用した癌診断法並びに治療法開発の為の基礎的研究
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60218010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木幡 陽 東京大学, 医科研, 教授 (30030852)
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Keywords | 糖蛋白質 / 腫瘍マーカー / 糖鎖 / γ-グルタミルトランスペプチダーゼ / 絨毛性性腺刺激ホルモン / 癌胎児性抗原 / 肝癌 / 異所性ホルモン |
Research Abstract |
1.ヒト臓器から精製したγ-グルタミルトランスペプチダーゼの糖鎖の解析-先に報告したラット肝臓のγ-グルタミリトランスペプチダーゼの糖鎖の癌性変化を応用した肝癌診断法開発の一環としてヒト諸臓器の同酵素の糖鎖構造の全体像を明らかにする研究を進めた。本年度に解明の終った腎の酵素は個体間で糖鎖構造に差が認められず、X抗原構造を側鎖に持つbisected2,3本鎖複合型を有していた。この構造的特徴はマウス腎のものに酷似しているが、4本鎖やN-アセチルラクトサミン繰り返し構造がない点で後者と異っている。 2.癌に異所性に産出されるhcGの糖鎖-HCG,特にそのサブユニットは絨毛癌ばかりでなく様々な癌で異所性に産生されることで注目されている。これら異所性ホルモンの糖鎖構造の解明は我々が現在進めている糖鎖を利用した絨毛癌診断法の開発にとり重要であるばかりでなく、これら非胎盤性heG産生腫瘍の診断法の開発につながる課題でもあるので、アデノカルチノーマ患者および未分化癌患者各1例の尿からhcGα-サブユニットを精製し、その糖鎖を調べた。その結果、共に絨毛癌のhcGには検出されたことの無いシアル酸を含む4本鎖や硫酸残基を持ったアスパラギン結合糖鎖が検出された。 3.癌胎児性抗原(CEA)の糖鎖構造-昨年度の研究で我々はCEAがManα1→6(Manα1→3)Manβ1→4GlcNAcβ1→4(IFucα1→6)GlcNAcを母核に持つ極めて複雑な複合型糖鎖を持つことを明らかにした。今年度は更にアグリコン特異性のせまい様々なエキソグリコシダーゼによる消化を組み合わせてその構造の全貌を解明することに成功した。すなわち全糖鎖のおよそ38%はFucα1→2Galβ1→4GlcNAcおよびFucα1→2Galβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcを側鎖に持つものであり、30%はGalβ1→4(Fucα1→3)GlcNAcを側鎖に持つ2〜4本鎖、13%はN-アセチルラクトサミンおよびその繰り返し構造を側鎖に持つ2〜4本鎖であった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] J.Biol.Chem.260-7. (1985)
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[Publications] J.Biol.Chem.260-8. (1985)
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[Publications] Jpn.J.Cancer Res.76-8. (1985)
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[Publications] Arch.Biochem.Biophy.240-2. (1985)
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[Publications] J.Biochem.99-1. (1985)