1985 Fiscal Year Annual Research Report
HTLVの感染と予防に関する基礎的並びに臨床的研究
Project/Area Number |
60218024
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
三好 勇夫 高知医科大学, 医, 教授 (30033088)
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Keywords | HTLV-【I】 / ウサギ / 輸血 / X線照射 / 感染予防 |
Research Abstract |
ヒトにおけるHTLV-【I】の感染経路として輸血と家族内感染(持に母児感染と夫婦感染)が強く疑われており、HTLV-【I】の感染経路を遮断することがATLの予防対策上極めて重要である。私達はウサギがHTLV-【I】の感染モデルとして甚だ有用であることを見出した。【◯!1】輸血によるHTLV-【I】のウサギヘの累代感染:先ずHTLV-【I】産生細胞であるRa-1細胞をウサギに静注し、HTLV-【I】感染ウサギを作成した。このウサギより血液を採取し、輸血によりHTLV-【I】がウサギからウサギに感染することを明らかにした。すなわちHTLV-【I】に対する抗体が陽性となったウサギより、次のウサギに20ml輸血することにより5代に亘ってHTLV-【I】を累代感染させることに成功した(14/14)。この場合、全血でも洗滌血球でも又新鮮血でも保存血(4℃1-2週間)でも感染が成立した。しかし抗体陽性ウサギの無細胞血漿の輸注では感染は成立しなかった(0/2)。【◯!2】X線照射した保存血の輸血:次に輸血用の血液をX線照射(6,000ラド)することによりHTLV-【I】感染が予防出来るか否かを検討した。照射直後に輸血した場合には全例感染が成立したが(3/3)、照射血を 4℃に1-2週間保存後輸血した場合には感染しなかった(0/3)。この結果よりX線照射自身はリンパ球のDNA中に組み込まれているHTLV-【I】ゲノムからのウイルスの放出を阻止し得ないが、照射後恐らく1週間以内にウイルスゲノム陽性のリンパ球が死滅するため、感染性が失われるものと考えられた。ATLの流行地である沖縄、九州四国ではHTLV-【I】に対する抗体陽性の健康人(ウイルスの保菌者)が多数いるため輸血により年間約2万人がこのウイルスに感染するものと推定されている。今回の動物実験は輸血によりヒトへのHTLV-【I】感染を裏付けると同時にX線照射した保存血の使用によりウイルス感染が予防出来ることを示唆している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Cancer. 56-12. (1985)
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[Publications] Virology. 144-1. (1985)
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[Publications] Int.J.Cancer. 36-6. (1985)
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[Publications] Jpn.J.Cancer Res.77-1. (1986)
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[Publications] Int.J.Cancer. 37-1. (1986)