1985 Fiscal Year Annual Research Report
化石系芳香族炭素資源からヘテロ原子を含む特異な構造を有する新規芳香族化合物の合成
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60219008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲本 直樹 東京大学, 理, 教授 (30011422)
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Keywords | 橋かけアヌレン / クラウン型化合物 / チオアルデヒド / スピン捕捉剤 / 立体保護 / 低配位リン化合物 / 錯体生成 / 幾何異性化 |
Research Abstract |
【1!_】.ベンゾシクロプロペンから13段階で橋かけ〔9〕チアアヌレンを合成した。【^1H】-,【^(13)C】-NMR,UVスペクトルの温度変化より、この化合物は主として三環性のプロペラン型として存在するが、30℃では16%アヌレン型として存在し、後者は芳香族性をもつことが示された。【2!_】.ベンゾシクロプロペンよりシクロヘプタトリエン骨格をもついくつかのクラウン型化合物(【A!〜】)を合成し、金属イオン取込み能を測定したが、【Ag^+】を取込むものの、相当するベンゾ体よりも取込み能が低下していることがわかった。さらに、【A!〜】からトロピリウムイオンを含むクラウン型化合物を合成することができた。【3!_】.かさ高いArLi (Ar=2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)とチオギ酸O-エチルから安定なチオベンズアルデヒドが合成でき、200℃での加熱、光照射により定量的にベンゾチアン誘導体に環化した。【Me_2】CCNとの反応でも同じ環化体が得られたが、t-【C_4】【H_9】とはスピン捕捉体も得られることがわかり、スピン捕捉剤となる可能性が示された。【4!_】.ArLiから合成される立体保護による安定化されたジホスフェン(【B!〜】)(Ar-P=P-Ar′)は硫黄との反応により、すいた方のリン原子が硫化され、得られた硫化物は光または熱により定量的に三員環化合物チアジホスフィランを与えた。【B!〜】(Ar′=メシチル)は(THF)M【(CO)_5】〔M=Cr,【M_o】,W〕とはメシチル側のP上にM【(CO)_5】が配位した錯体を与えた。ArP(Li)Si-【Me_2】-t-Bu(【C!〜】)とベンズアルデヒドの反応で安定なE-ArP=CHPhが合成できたが、光照射によりZ-体と光平衡になり、この両異性体は容易に分離できることがわかった。両異性体は、それぞれP上でのM【(CO)_5】配位錯体を与え、E-体の硫化では、P-スルフィドを経由して、硫黄が2原子関与した三員環化合物チアホスフィランスルフィドを与えることがわかった。しかし、【C!〜】はベンゾフェノンとは予想される化合物 Ar-P=C【Ph_2】を与えなかった。
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[Publications] J.Org.Chem.50-2. (1985)
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[Publications] Chem.Lett.3. (1985)
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[Publications] Tetrahedron Lett.26-14. (1985)
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[Publications] 有機合成化学協会誌. 43-8. (1985)