1985 Fiscal Year Annual Research Report
糖質からアミノ配糖体抗生物質および生物活性サイクリトール誘導体の合成
Project/Area Number |
60219019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 勲 大阪大学, 薬, 教授 (20028830)
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Keywords | 糖質 / アミノ配糖体抗生物質 / アミノシクリトールオリゴ配糖体 / 電極酸化法 / 四酢酸鉛酸化法 / リボスタマイシン / ジベカシン / 6-エピージベカシン / ヌクレオシドシクリトール類縁体 |
Research Abstract |
アミノ配糖体抗生物質はβ-ラクタム抗生物質とともに化学療法剤の主軸となっているが、新規で有用な抗生物質を従来の探索法で微生物の代謝産物中に見出す可能性は減少しつつある。そこで最近では、既知の抗生物質を化学修飾して得られるアミノシクリトールオリゴ配糖体の中から有用な抗生物質を見出す試みが盛んに行われている。また、シクリトール誘導体はアミノ配糖体抗生物質などの構成要素であるのみならず、ビタミン様作用などの生理活性を示す興味ある化合物群である。 われわれは、これまでに糖質からアミノシクリトール誘導体などに化学変換可能な電極酸化法、四酢酸鉛酸化法を見出し、これにニトロ基β位の脱アセトキシル化反応を組み合わせることによって、D-グルコサミンなどの単糖類からリボスタマイシンやパロマミンなどのアミノ配糖体抗生物質の合成に成功している。本研究では、D-グルコサミンおよびD-グルコースから、現在、耐性菌に最も有効とされているアミノ配糖体抗生物質ジベカシンを合成するとともに、ジベカシン合成過程で副生するアミノシクリトール配糖体から6-エピージベカシンなどの非天然型アミノシクリトールオリゴ配糖体の合成に成功した。また、D-グルクロン酸からわれわれの方法で容易に得ることが可能なアミノシクリトールを出発物質として、プリン、ピリミジンヌクレオシドのシクリトール類縁体を合成することに成功した。 この様に、われわれは天然に豊富に得られる単糖類を素材として、臨床上重要なアミノ配糖体抗生物質やそれらの構造異性体のほか、生物活性が期待されるシクリトール誘導体を合成し、当初に計画した研究目的、計画、方法に対し、ほぼ満足できる結果を得ることができた。
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