1985 Fiscal Year Annual Research Report
微生物による有機化合物の選択的酸化と有機合成への応用
Project/Area Number |
60219026
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 博道 慶応義塾大学, 理工, 助教授 (30152151)
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Keywords | 微生物 / 酵素 / コリネバクテリウム・エクィ / 高選択的有機化学反応 / 不斉加水分解 / 光学活性スルホキシド / エナンチオ選択的酸化 |
Research Abstract |
1.オキサゾリン、ジオキソランの不斉加水分解 炭素-炭素二重結合を含む化合物の酸化によって導びかれるオキサゾリン、オキサゾリジノン、ジオキソラン環を含む化合物の不斉加水分解を行う菌を検索した。保存菌株、数多くの土壌試料から得られた未同定菌を用いてスクリーニングを行なった結果、加水分解能を有する菌を見い出すことはできたが、酵素活性が低く、実用的に利用できるものではなかった。今後、基質の構造の修飾可能な部分を変化させて酵素に適合させるように試み、更に酵素系の検索を行う予定である。 2.アルコールの酸化 β-位にメチル基を有する2級アルコールの酸化をCorynebacteriumequiで行うと基質によってはジアステレオ選択的な酸化が進行し、エリトロ体はケトンに酸化され、トレオ体のアルコールが回収された。またα-位にメチル基を有するケトンは同じ菌によってエナンチオ選択的に代謝分解され、一方の光学活性体を濃縮することができた。 3.硫黄化合物の酸化及び関連反応 これまでにアルキルアリールスルフィドの酸化をC.equiを用いて行ってきたが、この菌は二重結合を含むアリルアリールスルフィドの酸化にも応用できることがわかった。対応するスルホキシドの光学活性体はラセミ化し易いにもかかわらず、菌による酸化条件下で安定で、光学収率良くアリルフェニルスルホキシドが得られた。 α-スルフィニル酢酸メチルをC.equiの培養液に加えると不斉加水分解が起り、S体のみが加水分解される。したがって条件を選んで未反応のエステルを回収すると95%e.e.以上の純度を有するR体であった。本不斉加水分解はβ-ベンゼンスルフィニルプロピオン酸エステルにも応用することができた。またアルコール部分の残基が不斉収率に大きな影響を与えることがわかった。
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[Publications] Agric.Biol.Chem.50-2. (1986)
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[Publications] Agric.Biol.Chem.49-7. (1985)
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[Publications] Chem.Lett.2. (1986)