1985 Fiscal Year Annual Research Report
鉱物・融体中におけるコヒーレントな拡散係数の測定と拡散-結晶構造の相関原理の研究
Project/Area Number |
60221004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
末野 重穂 筑波大学, 地球, 助教授 (30110513)
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Keywords | 拡散係数 / SIMS / 自己拡散 / 軽元素 / マスフィルター |
Research Abstract |
ある鉱物中における各含有元素間の拡散係数の従来の報告はバラツキが大きく、鉱物内の色々な現象の解析のための基礎データとして使用に耐えない。本研究では各元素の拡散係数についての相対性(コヒーレント性)を重視して測定し、拡散を支配する原理を実験的に求めることである。今年度はペロブスカイトCaTi【O_3】を測定試料として選び、拡散係数測定を行なった。試料のペロブスカイトはFZ法によって合成し、6mm【◯!/】×20mmの単結晶を得た。拡散実験のため、これを3mm角に定方位に切出して研磨し、その研磨面上に標準岩石試料JB-2を真空蒸着し、約50nm厚の多成分系酸化物薄膜を形成させた。その試料を酸素雰囲気中1000-1500度℃の温度域で5-20時間アニールさせて薄膜中の全元素をペロブスカイト中に同時に拡散させた。 微量元素を含む多数の元素を同時に測定するために、筑波大学分析センターのCamaca IMS-3f型二次イオン質量分析計(SIMS)での深さ方向分析法を用いた。この手法は数nmのプロフィル分解能を有する。一次イオンビームはビーム径約50umの【O^-】を用い、試料上の約150×150umの領域をラスターし、その領域の中心部約10μmφからの2次イオンビームのみを質量分析した。その結果、Si,Al,Fe,Mg,Mn,Na,K,Liの8元素の拡散プロフィルを得た。解析は今回開発したプログラム(DIFFUS)によって行ない、拡散係数(D),活性化エネルギー(Q)と拡散係数(Do)を計算した。経験的にQとlogDoとの間に正の相関があることが知られている(Compensation law)が、ペロブスカイトにおいてもこの関係が非常によく成り立っていることが判明した。 今年度の実験によって、多成分同時拡散と多成分深さ方向分析法の組合わせによるコヒーレントな拡散係数を求める手法がほぼ確立した。より測定精度を上げるためには、ビームのスパッタ速度を上げることと、薄膜中の元素の数と含有量を増やすことが重要である。
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Research Products
(1 results)