1985 Fiscal Year Annual Research Report
トランジェント液相成長法の開発と可視光半導体レーザ材料への応用
Project/Area Number |
60222013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 良一 東京大学, 工, 教授 (40133102)
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Keywords | 混晶半導体 / ミッシビリティギャップ / 混合不安定性 / 液相エピタクシー |
Research Abstract |
本研究は、【III】-【V】族化合物半導体混晶の混合不安定性を調べることを目的としている。具体的には、ミッシビリティギャップ内における結晶成長過程の究明と成長した結晶の特性を調べることを第一の目的とし、混合不安定性を抑制する方法として提案するトランジェント液相成長法の開発を第二の目的としている。 本年度は上記の目的に沿って次の研究を行った。 (1)計算機制御高速回転メルト型液相成長炉の設計・試作。850℃までの高温に耐え、最短成長時間30ミリ秒、制御精度3ミリ秒のマイクロコンピュータ制御縦型回転成長炉を設計・試作した。基本的な性能の確認を行い、GaAsのエピタクシアル成長が可能であることを確かめた。 (2)混晶の液相エピタクシァル成長の初期過程について、界面過飽和度の存在を考慮したモデルに基づいて計算機シミュレーションを行った。シミュレーションの結果、過飽和溶液からの液相成長の初期過程において、固相組成、成長膜厚の時間依存性が界面律速効果に影響されることを明らかにした。 (3)通常のスライドボード法を用いてGaAs基板上のGaInPAs4元混晶の不純物ドーピングについて検討した。Teをドーパントとしたとき、ミッシビリティギャップ内の組成に対しては偏析係数が小さくなることを見出した。これはミッシビリティギャップ内の組成に対しては過飽和メルトが不純物の導入により不安定になり何らかのメルト内析出を誘起していることを示唆している。 (4)混晶半導体のフェイズダイアグラムに及ぼすミッシビリティギャップの影響について理論的に検討した。従来から断片的に知られていたいくつかの現象を統一的に理解することができるようになった。
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