1985 Fiscal Year Annual Research Report
神経活性ペプチドの生成,分解に関与するプロテアーゼ系の解析
Project/Area Number |
60226003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 健治 東京大学, 理, 教授 (70011533)
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Keywords | 神経活性ペプチド / 神経ペプチド / プロテアーゼ / カルシウム依存プロテアーゼ / 細胞骨格結合プロテアーゼ / 脊髄プロテアーゼ |
Research Abstract |
神経活性ペプチドの生成、分解に関与するプロテアーゼ系の解析の一環として、ウシ脊髄の可溶性分画および細胞骨格分画に存在する二種のカルシウム依存中性プロテアーゼを精製し、その諸性状を比較検索するとともに、各種の神経ペプチドおよび関連ペプチド等に対する作用特異性を比較検索した。細胞骨格結合性プロテアーゼは、細胞骨格分画より0.6MKCLで抽出後、有機水銀セファロース4B、カゼインセファロース4BおよびセファロースCL-6Bカラムによるクロマトグラフィーにより均一標品として精製した(精製度3300倍)。可溶性酵素は可溶性分画をDEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーにより分画後、同様なクロマトグラフィーにより精製した。両酵素とも、分子量約10万で7.9万と2万のサブユニットから構成される。両者とも0.5mM【Ca^(2+)】濃度で顕著な活性を示し、種々のチオールプロテアーゼ阻害剤により強く阻害された。0.1-0.2mM【Ca^(2+)】濃度下で、可溶性酵素はニューロフィラメント蛋白質の分子量6万8千と16万の成分を主に分解したが、結合型酵素では同様な分解に2倍の濃度の【Ca^(2+)】を必要とした。 両酵素を種々の神経ペプチド等に作用させ、生成物を逆相カラムを用いる高速液体クロマトグラフィーで分離し、アミノ酸組成分析により同定し、切断点を比較した。この結果、用いたペプチドの中では、ダイノルフィン(1-13)、α-およびβ-ネオエンドルフィン中のArg-ArgまたはArg-Lys結合が特異的に分解されること、また、ニューロテンシン中のTyr-GLu、アンジオテンシン中のTyr-Ile、酸化インスリンB鎖中のTyr-Leuの各結合が特異的に分解されることが判明した。一方、Leu-エンケファリン、Met-エンケファリン、BAM-12Pは分解されなかった。また、これらの結果は二つの酵素で大差なかった。
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Research Products
(1 results)