1985 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞への正常遺伝子移殖による先天性代謝病の治療の基礎的研究
Project/Area Number |
60227006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
帯刀 益夫 東京大学, 薬, 助教授 (10099971)
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Keywords | 先天性代謝病 / 幹細胞 / 遺伝子移植 / 赤白血病細胞 / グロビン遺伝子 / マイクロインジェクション |
Research Abstract |
1.研究目的 先天性代謝病の根本的治療は、幹細胞へ正常遺伝子を移植し、その細胞の本来の発現のプログラムに従がわせて発現することが必要である。との目的を果すためには、移植した外来遺伝子を幹細胞の指令に従属させるための方策の基本的な検討が必要であり、本研究では、試験管内で分化誘導できる赤白血病細胞を用い、移植したヘモグロビンの遺伝子の発現調節機構を解析し、幹細胞への遺伝子移植法を確立することを目的とした。 2.研究実績 上記目的を果すため、血液幹細胞のような非付着細胞への効率良い遺伝子移植法を確立すべく、マイクロインジェクションを行なった。その結果、約100個に1個という高率で遺伝子移植が可能となる技術を確立した。ついで、この手法を用い、別に調製したキメラ遺伝子を移植し、発現調節機構を調べた。すなわち、マウスβ-グロビン遺伝子の5′上流域とヘルペス単純ウイルスチミジンキナーゼ遺伝子のキメラ遺伝子を赤白血病細胞にマイクロインジェクションを行なうと、分化誘導に依存した発現様式を再現した。また、制御領域のみをもつ遺伝子断片によるcompetitionの実験から、分化誘導に依存して制御蛋白が量的あるいは質的変化をすることが明らかとなった。さらに、このキメラ遺伝子を安定に染色付上に組み込んだ赤白血球細胞株を樹立することができ、現在、その発現様式を検討中である。 これらの結果より、幹細胞への正常遺伝子移植の方策は、技術的に可能と思われるので、今後は、血液幹細胞への移植を試みてゆきたいと考えている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Differentiation. 29. (1985)
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[Publications] Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 82. (1985)
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[Publications] Nature. 315. (1985)
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[Publications] Nucl.Acids Res.13. (1985)
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[Publications] J.Biochem.19. (1985)