1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60229004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渥美 和彦 東京大学, 医学部, 教授 (70009877)
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Keywords | 人工心臓 / 循環動態 / 制御 / 機械駆動方式 / 房室隔膜駆動方式 |
Research Abstract |
本年度は、これまでに行ってきたポンプを体外に置く方式について、基本的な循環動態の連続的計測を行い、全置換型人工心臓の現状における問題点を明らかにした。また、同時に定期的に、内分泌、血液生化学及び循環血液量などを測定し、循環パラメータとの関連を求めた。また、これに基づき、人工心臓の駆動条件を変化させ、これに伴う各測定値の変化を観察した。先ず、右心拍出量を正常範囲内で一定に保つ定常制御下ではこれまでに報告してきた。中心静脈圧の上昇などの右心不全様状態に加えて、大動脈圧の上昇、総末梢抵抗の上昇、更に、末期には左心房圧の上昇などの異常を生じている可能性が指摘された。このような異常に対する人工心臓の制御法については、右心拍出量を増加、減少させるなどして循環動態の変化を見た。心拍出量を増加させると右房圧は若干低下するが、動脈圧は更に上昇した。また心拍出量を減少させた場合には上記とは逆の効果を生じ、右心房圧と動脈圧の両者を同時に適正化することは、単純な右心拍出量のみの制御では困難であることが推測された。このような循環生理状態は、いわゆる"人"の高血圧状態に類似しており、人工心臓のどのような点がこのような状態を生ぜしめているのか、極めて興味のある点であり、今後更に検討が必要であると考えられた。また、内分泌検査の結果では、レニン・アンギオテンシン系、カテコールアミンなど直接影響を及ぼし得ると考えられる因子については循環動態との間で明らかな相関はみられなかった。運動負荷時の変化については、現在、慢性実験の為の管理台を兼ねたトレッドミルを作成し検討中である。 機械駆動方式については、これまでの検討の結果から、房室隔膜駆動方式が循環動態の上から優れていることが明らかになったため、組み込む血液ポンプ、駆動モータなどのハードウェアの形状、性能および制御のソフトウェアなどについて検討中である。
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Research Products
(2 results)