Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 政徳 信州大学, 教養部, 助教授 (40128583)
山下 晋司 広島大学, 総合科学部, 助教授 (60117728)
関本 照夫 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (20110083)
須藤 健一 国立民族学博物館, 第一研究部, 助教授 (10110082)
大林 太良 東京大学, 教養学部, 教授 (20012263)
|
Research Abstract |
1.本研究の最終年度である昭和62年度において行われた研究会とその討議の内容は以下の如くである. (1)研究会は東京で三回, 大阪で一回行われた. 当初の計画より回数が増えたのは, 以下で述べるように, 研究の主題の絞り込みのため総括的な討議が必要になったことと, その主題に関する専門家に講師として参加発表を求め実施したこと, による. その増加した分の旅費には, 設備備品費, その他, の費目から充当したが, 設備備品に関しては昭和61年度までに充分な図書が備えられた, と, また「その他」の中の報告書作成費は研究代表者所属機関の既存の設備を利用することで報告書作成可能と, それぞれ判断し行った. (2)今年度の討議で次第に明らかとなった主題とは, 東南アジア・大洋州における社会・文化の基層が, この地域に多様な形で存在する複合社会における文化的シンボルとして国家の意匠(デザイン)となっていることである. そのことは, 当該地域の国家, または民族が, その現代的位相のなかで, 国民国家(NationーState)として, またその構成部分として, 外には独立の権利を主張し, 内にはその統合を必要としているところから来る. しかしながら, その国民国家としての枠組自体がそれらの国々にとって全く新たなものであるがゆえに, その国家としての内実はしばしば不安定で不充分なものでありながらも, その国家であることへの希求と意識化は非常に先鋭なものがあり, その交差した軸に世界の他の地域とは異なる文化と政治のダイナミズム, が見られる. この主題を考察することによって, この研究会は東南アジアと大洋州の国々の現在の歴史的局面を理解するという個別的課題と, 国家そのもののこれからの行方を構想するという一般的課題の二つを果たして来たと考える. 今後, その成果は, 報告書, 及び出版物として発表される.
|