1986 Fiscal Year Annual Research Report
Merger Movementの研究-金融取引を通じる産業資本の集中と合併-
Project/Area Number |
60301094
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深町 郁弥 九大, 経済学部, 教授 (20037104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野下 保利 国土館大学, 政治経済学部, 講師 (10150393)
川波 洋一 九州大学, 経済学部, 助教授 (80150390)
丑山 優 九州大学, 経済学部, 助教授 (40108626)
大庭 清司 野村総合研究所, 財務開発部, 部長
高須賀 義博 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70017656)
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Keywords | Merger / 信用創造 / ジャンク・ボンド / 金融取引 / 銀行集中 / ターム・ローン / 管理通貨制度 / リストラクチュアリング |
Research Abstract |
本研究においては、歴史上4度現われたMerger Movement.を比較し、またそれらを金融取引と関わらせて分析するという点に特徴がある。本年度は、こうした観点から研究を行い、次の様な研究成果を得た。 1929年ベルリン大銀行間の大型合併は、それまでの合併が支店網拡大を主眼とした銀行集中であったのと異なり、当時のドイツの大銀行の過重状態によるものであった(大矢論文)。同時期のアメリカについては、相殺メカニズムに基づいた信用創造が、単に再生産との関わりにおいてだけではなく、証券市場(証券取引)に対しても十分に作動したことが明らかにされた(原田論文)。この点、現代のジャンク・ボンドによるMergerのためのFinancingが、Low Grade Bond Marketの十分な発達を素地にして生まれてきた点を明らかにする上で重要な理論的成果である。 現代のMerger Movementに関しては、管理通貨制度化の信用制度の分析に基づく構造的接近を試みる意味で、商業銀行の変質(非商業銀行化)を理論的に明らかにした。その核心は、商業銀行のターム・ローンの展開とそれに対応した金融市場における資産流動性維持システムの展開である(深町論文)。また、金融市場取引を通じてなされる現代のMerger Movementのような再生産から遊離した現象の背後には、金融資産の累積と過剰資金の創出という事態があったことも明らかにした(川波論文)。さらに、現代の企業合併運動をリストラクチュアリングの一環として捉え、その理論的フレームワークとしての内部組織の経済学の理論的意義を全体としての経済適応調整システムと企業内調整・企業組織との関連において明らかにした(野下論文)。以上の分析から、現代のMergerの広がり、リストラクチュアリングに関しての金融的側面からの分析にまで到達することができた。
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[Publications] 深町郁彌: 経済学研究(九州大学). 第52巻第1〜4号. (1986)
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[Publications] 川波洋一: 経済学研究(九州大学). 第52巻第1〜4号. (1986)
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[Publications] 大矢繁夫: 商学論集(西南学院大学). 第33巻第2号. 69-86 (1986)
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[Publications] 野下保利: 政経論叢(国士館大学). 第62巻第1号. (1987)
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[Publications] 原田善教: 経済学研究(九州大学). 第51巻第6号. 65-84 (1986)