1986 Fiscal Year Annual Research Report
作物の形態形成制御による有用器官の誘導に関する研究
Project/Area Number |
60304019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 英三 名大, 農学部, 教授 (60023404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古橋 勝久 新潟大学, 理学部, 助教授 (90022714)
三宅 博 東京農工大学, 農学部, 助手 (60134798)
石原 愛也 岩手大学, 農学部, 教授 (20011827)
山口 俊彦 大阪府立大学, 農学部, 講師 (30081558)
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Keywords | 組織培養 / 茎葉分化 / 不定胚形成 / 老化種子 / 葉緑体の移動 / 亜鉛濃度 / アミノ酸 / 胚盤の微細構造 |
Research Abstract |
茎葉・根及び不定胚等の器官誘導に関し形態形成の側面から、次の成果が得られた。 (1)13年令のイネ老化種子に種々のホルモン処理を行って、ブラシノライドの極低濃度処理より81%もの植物体を得た。バミューダグラス頴果起源培養組織の7.5%で緑色組織を形成した。また白色で表皮系を持つ胚様体組織の梟塊にも生じた。緑色組織及び胚様体組織は継代後、オーキシンフリー培地で植物体に分化した。 (2)ナシの果実を低温処理後、胚珠及び珠心を暗所で培養した結果、不定胚を形成した。リンゴの台木から種々の時期に花蕾を採取し、明所で葯培養を行ったところ不定胚形成を認めた。モモの胚乳から誘導したカルスに胚様体の形成を認めた。 (3)シコクビエ維管束鞘葉緑体の求心的配列移動はコルヒチンで影響されなかったが、サイトカラシンBで抑制された。葉緑体の移動過程で、オーキシンはその初期のみ阻害作用を示し、シクロヘキシイミド、サイトカラシンBの順で、より後期に阻害作用が現れた。この結果から維管束鞘葉緑体の移動は、オーキシンの作用に基づく葉の伸長生長が終了した後に、細胞質中で蛋白合成が進行することによって引き起こされ、ミクロフィラメントが葉緑体を維管束側へ引き寄せると考えた。 (4)培地中の亜鉛を制限して培養したイネカルス細胞では、シアン非感受性の呼吸量が著しく低下した。前培地と再分化培地の亜鉛濃度を下げたところ、分化しないカルス細胞の増殖が低下して、緑色斑点を持つカルスが増加した。培地にココナッツミルクを添加したとき、斑点の出現が早くなった。カルス細胞と再分化した幼植物間で、グルタミンやアスパラギンのアミドや、プロリン・アラニン含量に差が見られた。 (5)イネの胚盤を二培地法で培養した。胚盤細胞は三ケ月後でも正常であり、核・プラスチド・ミトコンドリア・脂質粒・小胞体・等を含んでいた。上皮細胞の先端に多層の粗面小胞体が観察された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] ラディ・サイド・ハッサン,前田英三: 日本作物学会記事. 55. 504-512 (1986)
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[Publications] ラディ・サイド・ハッサン,前田英三: 日本作物学会記事. 56. 73-84 (1987)
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[Publications] 前田英三;Said Hassan Radi: 日本作物学会東海支部報告. 102. 23-24 (1986)
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[Publications] 山口俊彦: 植物の化学調節. 21. 113-117 (1986)
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[Publications] 三宅博,中村實也: 日本作物学会記事. 55(別2). 245-246 (1986)