1985 Fiscal Year Annual Research Report
文脈処理モデルの導入による機械翻訳システムの高度化に関する研究
Project/Area Number |
60400004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長尾 真 京都大学, 工, 教授 (30025960)
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Keywords | 自然言語理解 / 文脈処理 / 自動抄録 / テキスト処理 / 照応処理 / 機械翻訳 / 文生成 |
Research Abstract |
自然言語における文脈の処理には様々な研究課題があるが、本年度は研究の第一年度として次のような研究を行なった。 1.論説文における文章間の間係の整理:従来の文脈処理においては、事象間の因果関係など、実世界における知識と文章の構造とを直接対応させるアプローチが主流であった。しかし、新聞社説のような論説文においては、主張・主張の根拠・事態についての論者のコメントなど、実世界知識の構造には直接還元できない多くの関係が現れる。実際の社説に現れるこれらの関係を分析し、それを大きく8種類の意味的関係に整理した。 2.文のタイプの分析と文間関係の規則化:論説文に現れる文を事実文、断定文、主張文、要望文などのタイプに分類し、このタイプを助動詞などの表層の言語表現から決定するアルゴリズムを作成した。また、1で整理した文間の関係が、特定の文のタイプ同志を結合することに注目し、文間関係を決定するための規則を、文脈自由型の規則の形に整理した。 3.文章構造解析システムの作成:1,2の結果をもとに、新聞社説の持つ連結構造を抽出する計算機システムを開発し、それが妥当な文章構造を出力することを実験によって確認した。 4.文脈を考慮した文生成システムの作成:日本語における『は』と『が』の使い分け、接続助詞や接続詞の使用は、文脈的な情報から決定しなければならない。このための文脈モデルを作成し、このモデルを参照しながら文脈に整合的な文を生成する文生成システムをシステミック文法の枠組を使って作成し、このシステムが妥当な日本語文章を生成することを実験によって確認した。 以上のように、本年度の研究は、文脈を考慮した機械翻訳の高度化を目指す第一歩として、十分な成果を挙げることができた。
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[Publications] Computational Linguistics. 11-2. (1985)
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[Publications] 情報処理. 26-10. (1985)
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[Publications] 情報処理. 26-11. (1985)
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[Publications] 情報処理学会32回全国大会. 4S-9. (1986)
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[Publications] 情報処理学会32回全国大会. 4S-10. (1986)