1988 Fiscal Year Annual Research Report
有用植物とその近縁野生種にみられるオルガネラDNAの変異
Project/Area Number |
60400005
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
常脇 恒一郎 京都大学, 農学部, 教授 (20026438)
|
Keywords | 葉緑体DNA / ミトコンドリアDNA / 遺伝子rbcL / 制限酵素分析 / RFLP分析 / 全構造決定 / 系統分化 / 栽培種の起原 |
Research Abstract |
本研究は、種々の有用植物とそれらの近縁野生種のオルガネラDNAの変異を分析し、それぞれの種属内の系統関係と栽培種の起原を解明することを目標としている。本年度の成果の概要は以下のとおりである。 1.オルガネラDNAの制限酵素分析:エギロプス属については、4倍種Ae.kotschyiの細胞質提供親を決定するため、Ae.umbellulataとSitopsis節の3種の葉緑体とミトコンドリアDNAの制限酵素分析を行った。その結果、Ae.searsiiがその細胞質親であることが判明した。イネ属については、Aゲノムをもつ4つの2倍種の66系統について葉緑体DNAの制限酵素分析を行った。3酵素を用いた結果、9つの異なる葉緑体ゲノムが同定できた。栽培種O.sativaのJaponica型及び代表的Indica型と同一の葉緑体DNAをもつものが、野生種O.perennisの21系統中、それぞれ3系統及び6系統見出された。野生種O.brevilgulataの4系統すべては栽培種O.glaberrimaと同一葉緑体DNAを有していた。 2.オルガネラDNAのRFLP分析:コムギ・エギロプス両属の34種及びマダケ属の13種について、ミトコンドリアDNAのRFLP分析を行った。4つのミトコンドリア遺伝子のそれぞれを含むクローン化DNA断片をプローブにしてこれらのミトコンドリアDNAとのサザン・ハイブリダイゼーションを行い、種間における断片の一致率を求めた。この値に基づいて、それぞれの属内におけるミトコンドリアゲノムの系統樹を作成した。 3.葉緑体遺伝子の構成決定:コムギ・エギロプス両属にみられる16型の葉緑体ゲノムより代表的なもの5型を選び、それぞれよりrbcL遺伝子を含む約1200塩基対のDNA断片をクローン化し、その全構造を決定した。この結果に基づき、それぞれの遺伝子がコードする酵素Rubiscoの大サブユニットのアミノ酸配列を推定するとともに、塩基配列レベルにみられた突然変異数を用いて、5種のrbcL遺伝子の系統樹を作成した。
|
-
[Publications] Ishii,T.: Japanese Journal of Genetics. 63. 523-536 (1988)
-
[Publications] Murai,K.: Japanese Journal of Genetics. 64. 35-47 (1989)
-
[Publications] Ogihara,Y.: Theoretical and Applied Genetics. 76. 321-332 (1988)
-
[Publications] Siregar,U.J.: Proceedings 7th International Wheat Genetics Symposium. 145-151 (1988)
-
[Publications] Terachi,T.: Proceedings 7th International Wheat Genetics Symposium. 789-795 (1988)
-
[Publications] Tsunewaki,K.: Proceedings 7th Intetnational Wheat Genetics Symposium. 53-62 (1988)