1985 Fiscal Year Annual Research Report
縦偏極ビームの生成と核反応におけるスピン回転の測定
Project/Area Number |
60420007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 晨作 京都大学, 理, 教授 (80013465)
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Keywords | 縦偏極ビーム / スピン回転パラメーター / 超電導ソレノイド |
Research Abstract |
本年度は三年計画の第一段階として、超電導ソレノイド及びクライオスタットの設計、発注及び製作を行った。当初、これらは英国CCL社に発注の予定であったが、最終段階になって当方の予定価格を大巾に上まわる見積り額を示してきた為、近年技術力の向上が著しい国産メーカーでスピン回転超電導ソレノイドで実績のある真空冶金K.K.に発注先を変更した。この為多少遅れ気味ではあるが、本年度分は二月末になって納入された。冷凍機まで含めた総合テストは第二年度目の交付を受けてからになる。これと並行して、データ転送系の強化の為に、パラレル・ブランチドライバーと高速コンピューターを内蔵した前置処理器を購入し、現在それを用いた応用プログラムを開発している。共同利用研のビーム時間の割当の都合で、新しい高速転送系を用いた本格的な測定実験は5月になるが、全体としてはほぼ予定通りの進行状況と言えよう。 上記開発及び製作と並行して、横偏極ビームによる弾性散乱、非弾性散乱に於けるスピン回転パラメーターの測定は順調に進行している。その中間段階の成果は1985年の偏極現象国際会議でも報告し、各国の注目を集めたが、その後の解析により、実験を説明するスピン軌道力は核内のベクトル密度とスカラー密度の動径微分に比例しているらしいことがわかってきた。これは原子核の内部場に対する重大な新しい知見であり、非弾性散乱での縦偏極ビームによるスピン回転パラメーターと合わせた総合的な解析が期待されている。
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Research Products
(1 results)