1985 Fiscal Year Annual Research Report
黒潮流軸の変動に伴う暖水塊の陸棚・内海域への進入過程とその波及効果に関する研究
Project/Area Number |
60420014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
国司 秀明 京都大学, 理, 教授 (40025234)
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Keywords | 衛星画像 / 暖水塊 / 水温・塩分 / フロント構造の伝播 / 黒潮流路の変動 / 淡水流出量 / 土佐湾 / 紀伊水道 |
Research Abstract |
1:フェリーボート搭載の水温・塩分データに主成分分析を施し、変動現象の成分分離を行ない、その性質の記述を行なった。その結果次のような特徴が見いだされた。 (1):足摺岬周辺にはフロント構造が見られるが、これは夏季には塩分フロントで、岬の西側の水が東側の水よりも重い。冬季には温度フロントで、岬の西側が東側の水よりも軽い。豊後水道から紀伊水道にかけて汎域的に水温が上昇傾向にある時に、このフロントが東に伝播していくことが多い。 (2):紀伊水道の阿南室戸岬海岸付近でも同様にフロント構造の伝播が見られ、この伝播現象は淡水流出が強い時には南へ、黒潮の影響が強い時には北へ進んでいる。 2:黒潮が離岸流路へ移行する場合に、土佐湾沿岸の水温が低下し、土佐湾内の室戸岬付近へ黒潮系水が突っ込んで来るということが一般的傾向として認められた。 3:河川水の流出量や、室戸岬のレーダーエコーから得られた航路上への降水量と塩分変動との間には有意な相関が認められた。 4:九州から房総半島に至る太平洋岸周辺の暖水塊の2次元的挙動と黒潮流路の変化を連続的に捉えるために導入した暖水塊画像解析装置はシステムの整備を終わり、幾何補正を施した衛星画像が得られるようになった。現在、1983年以降の衛星NOAAの画像データを収集解析中である。現在迄に得られた若干の処理結果によると、黒潮流軸の変動に伴って、豊後水道-紀伊水道の水塊構造が大きく変化する状況が認められる。今後、NOAAの画像が継続的に入手出来る見通しが立ったので、時系列データとして衛星画像を最大限に活用する予定である。
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