1985 Fiscal Year Annual Research Report
偏極水素原子線の表面散乱過程とその応用に関する研究
Project/Area Number |
60420021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 泰 東京大学, 生技研, 教授 (70013092)
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Keywords | 偏極 / 原子状水素 / 表面 / 準安定状態 / 飛行時間法 / 昇温脱離 / 非弾性散乱 |
Research Abstract |
本年度は計画の初年度として、実験装置の開発と整備に重点を置いて研究を進めた。本年度に開発を行った主な装置と設備は、偏極水素原子線源・連続フロー型クライオスタット・飛行時間測定用高速パルス処理装置などである。また、清浄固体表面と偏極水素原子の散乱実験を行うに必要な真空排気系と表面分析器の整備を行った。以下に本年度の研究内容を要約する。 1.偏極水素原子線源 RF放電解離源・差動排気系・スピン選別用六極磁石の開発を行ない十分な強度の水素原子線の発生を確認した。六極磁石は永久磁石型とし、これに直線可動機構を付加することにより、ビームエネルギーの変化に対応することが可能となった。RF解離源の最適化と六極磁石の収束特性の検証を行うためのサーシスタを用いたビームモニタの開発を行った。 2.原子状水素の速度分析法 固体表面および表面凝縮気体層と偏極原子状水素の非弾性散乱過程を研究する方法として、ZS準安定励起状態を利用した中性分子の飛行時間分光法の開発を行っている。本年度は1ns以下の時間間隔測定が可能なパルス計測装置の整備を行った。また極低温試料表面の清浄化法として研究を行なっているレーザー照射によるパルス昇温脱離過程について四極子質量分析器による飛行時間測定を行なった。 3.極低温試料冷却装置 低温凝縮気体層と偏極水素原子の相互作用を研究するための極低温試料冷却装置を開発した。設計仕様は2〜300Kの範囲で温度可変とし、試料表面のZ軸回転自由度を実現した。また超高真空の作成に不可欠である装置の加熱焼出しに耐える極低温用部品として温度制御用ヒーター・サーマルアンカー用絶縁端子の開発を行った。
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