1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60420027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 秀雄 東京大学, 工, 教授 (90010678)
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Keywords | 気液二相流 / 減速翼列 / 回流水槽 / ボイド分布 / ポンプ / 数値流体力学 / ターボ機械 |
Research Abstract |
1.試験用回流水槽の設計・製作 断面200×100mmのテストセクションに翼列を組み込み、ボイド率0〜10%の制御された気泡分布をもつ気液二相法を流して、圧力分布、局所ボイド率分布などを詳細に測定できる回流水槽を設計した。その設計にもとずき、水槽のテストセクション、気泡吹き込み装置、整流装置、気泡分離タンク、連絡配管を(株)東芝に発注して製作した。これらを既存のポンプと組合わせて、回流水槽を完成した。 2.回流水槽の検定 製作・据付の完了した回流水槽の特性を明らかにするため、テストセクション内の速度分布、吹き込むボイドの数と大きさの分布などを詳細に測定する必要があり、現在引続き継続中。 3.供試単独翼の設計・製作 NACA4410翼形を基本とし、上下面合計1個の静圧測定孔をもつ測定翼を設計し、発注・製作した。 4.翼回りの気液二相流の数値シミュレーション 液中に存在する気泡を、その直径によってグループに分け、各グループ毎に気泡に働く圧力勾配による浮力,粘性による抗力,体積変化,局新音速分布などを考慮して、流れを数値的に解く方法を開発した。その結果、よどみ点付近では、ボイドの押しのけによって流れが非圧縮流に近付く反面、ボイドは翼の背面や後流付近に集まって、その局所マッハ数を超音速にまで高める。このように、ボイドのスリップは、翼まわりの二相流を、非圧縮から超音速まで分布させる極めて特異なものとし、これによって、圧力分布やスリップによる損失なども、従来予想されているものと著しく異なることが分かった。この数値シミュレーション結果は、回流水槽による実験結果と直接対比し、必要に応じてモデリングの修正を行なって、精度の高い数値計算法を完成させる。 以上のように、本年度の主目標である二相流回流水槽の完成をみたので、次年度以降翼まわりの流れの本格的な測定に入る。
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