1985 Fiscal Year Annual Research Report
極薄膜アモルファス半導体の熱電発電に関する熱工学的基礎研究
Project/Area Number |
60420029
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
森 康夫 電気通信大学, 電通, 教授 (20016207)
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Keywords | 熱電発電 / アモルファス半導体 / フィン効果 / 太陽熱利用 / 極薄膜半導体 / 電気絶縁薄膜 |
Research Abstract |
従来の結晶半導体による熱電発電が、高価なことと発電素子を製作するときの歩留まりも良くなく、物質が与えられたときの熱性能の向上が余り期待できない欠点がある。本言究はこれらの発電性能的にも経済的にも競合性が劣る原因を解消し、かつ物質を適当に選ぶことにより、太陽熱から燃焼ガスまでの広範囲の温度域および多方面の分野で利用できるように伝熱学のフィン効果を利用し、かつ熱電発電特性向上のためアモルファス状薄膜半導体による新しい熱電発電の素子の製作、熱電性能の理論と実験的究明を行うことを目的とする。 本研究で対象とする熱電発電素子は、一端を水冷管に溶接したステンレス等の薄板に熱流束を加えることにより生起されるステンレス板の幅方向の温度分布を積極的に用いる。このためステンレス板上に薄い電気絶縁膜を着け、その上に極く薄いアモルファス膜を蒸着させた構造を採用した。本年度の研究では特に太陽熱を熱源とする場合を対象とした。本年度の研究実績としては、まず太陽熱模擬装置を試作した。フィン特性を理論的に予測が容易なように熱流束を水平方向に、受熱面を垂直に取り付けた。また幅4cm,長さ約15cm,厚さ0.3-0.5mmのステンレス板に、直径約5cmのイオンクラスタービームによりアモルファス膜を着けるため、高真空中でステンレス板を毎分1mmずつ正確に動かす機構を設計、試作し、実験し所定の性能を得た。ついで350℃位まで充分な絶縁性を保持する絶縁膜について研究し、ポリイミド系溶剤が最適であることとその塗布乾燥条件を見出した。 最後に大気温付近で利用の基礎研究として純ゲルマニュウムとこれに僅かカドミウムを添加した膜を用い、水冷管に水道水を流し、板の背面の数箇所に熱電対を取り付けて実験した。現在のところゲルマニュウムアモルファス膜製造の最適条件を見出していないため、熱電指数は415μv/k位で、結晶半導体を用いた場合とほぼ同じ程度である。
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Research Products
(1 results)