1985 Fiscal Year Annual Research Report
収束電子回折法による空間群決定法と結晶構造解析法の開発
Project/Area Number |
60420051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 通義 東北大学, 理, 助教授 (90004291)
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Keywords | 電子回折 / 結晶構造解析 / 空間群 / 微少領域 |
Research Abstract |
今年度の目標として挙げた"高次ラウエ帶反射を利用した映進面の同定法の研究"を行った。動力学的消滅則をまず理論的に明らかにした。映進面を含む全ての空間群について、可能な全ての電子線の入射方向に対して、期待される動力学的消滅則のTableを作成した。この理論的結果を、本研究費によって本年度購入したJEM2000FXを用いて、実験的に証明した。すなわち、映進面をもつFe【S_2】,【Cu_2】O,Mg【Al_2】【O_4】について、入射電子線の加速電圧を変化させて、適切な運動学的禁制反射を選び、動力学的消滅を観察し、理論的な予測と一致することを明らかにした。この成果については、国際誌であるActa Cryst.Aへの発表を準備中である。実験的研究には、今回購入したJEM2000FXが非常に能率よく、有効に使用することができた。すなわち、クリーンな眞空系をもつこの装置では、試料汚染なしに実験が行なえること。加速電圧の微少変化を容易に行うことができ、それに伴うレンズ系の電流設定も自動的に行えるため、レンズ電流の調整に時間を費さずにすみ、操作性が非常によくなっていること。この装置で初めて導入されたコンデンサーミニレンズの仂らきによって、入射電子線の焦点合せと入射角設定が容易になったこと、などのためである。さらに、本装置を用いて、収束電子回折法を撮る新らしい方法を開発した。従来の方法では、結晶点群の決定には3枚の写眞が必要であったが、今回開発した方法によれば、1枚の写眞に必要な図形の全てを撮ることができる。この方法は、収束電子回折法に極めて有力な方法を導入した。この成果は、J.Electron Microsc、に急遽、投稿した。動力学的効果を用いた結晶構造解析法の開発のため、動力学的計算のためのコンピュータープログラムの開発・整備を開始した。研究目標としてかかげた、"【3_1】【3_2】…らせん軸の検出"には一般的な有効な方法はないように思われる。これについては、今後の検討課題である。
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