1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60430002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
籏野 嘉彦 東京工業大学, 理学部, 教授 (90016121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋森 洋 福井工業大学, 工学部, 助教授 (80139815)
新坂 恭士 東京工業大学, 理学部, 助手 (50016135)
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Keywords | ファン・デル・ワールス分子 / 電子付着過程 / 電子分光 / 電子エネルギー損失スペクトル / 電子スペクトロメーター / 超音速ノズルビーム / 共鳴付着 / 負イオン生成スペクトル |
Research Abstract |
本研究は、低エネルギー電子のファン・デル・ワールス分子による電子エネルギー損失スペクトルおよび負イオン生成スペクトルの観測を行うことによってファン・デル・ワールス分子への特異的な電子付着過程についての知見を得、その特異性の原因を明らかにしようとするものである。当初の本年度の研究実施計画は、昨年度の成果に基づき種々のファン・デル・ワールス分子をノズルビームを用いて生成しその電子エネルギー損失スペクトルおよびその角度分布を測定するとともに、得られたデータを解析し電子付着過程に関する既存の理論と比較し、その理論の問題点を明らかにしようとするものであった。またこの研究に関する最終年度にあたるためにこの新しい研究課題のために開発してきた電子分光系およびノズルビーム系について、その一長一短を明らかにして本実験手法が電子付着過程研究における新しい実験方法となることを確認しつつ今後への問題点を明らかにすることであった。 以上のような研究計画に対して実際には次のように行った。ファン・デル・ワールス分子およびクラスター生成量が少ないため電子エネルギー損失スペクトルあるいは負イオン生成スペクトルを測定するのが困難であるという昨年度挙げられた問題点に対してはファン・デル・ワールス分子を生成させるノズルビームの冷却方法を検討し最適条件を実験的に見出すことにより対処した。また電子分光器についても通常の孤立分子の電子エネルギー損失分光には充分な性能を有するが、低濃度のファン・デル・ワールス分子の測定には不十分であった。このことに関しては、電子光学系や電子エネルギー選別器の基本的なデザインを検討し直して、必要部分を新規に製作することによって対処した。以上のように本年度は装置についての徹底的な改良を行った。このことにより、当初期待した性能を有する装置の建設が終了したと考えられる。
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[Publications] 嶋森洋: Chemical Physics Letters. 150. 109-112 (1988)
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[Publications] 嶋森洋: Journal of Chemical Physics. 89. 2938-2942 (1988)
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[Publications] 嶋森洋: Journal of Chemical Physics. 90. 232-236 (1989)
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[Publications] 嶋森洋: Journal of Chemical Physics.
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[Publications] 籏野嘉彦: Radiation Physics and Chemistry. (1989)
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[Publications] 嶋森洋: 日本物理学会1988年秋の分科会講演予稿集. 4. 28 (1988)
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[Publications] 上垣内寿和: 分子構造討論会講演要旨集. 516-517 (1988)
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[Publications] 中谷佳次: 第31回放射線化学討論会講演要旨集. 67-68 (1988)
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[Publications] 上垣内寿和: 第31回放射線化学討論会講演要旨集. 85-86 (1988)
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[Publications] 嶋森洋: 第6回プラズマプロセシング研究会資料. 161-164 (1989)