1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60430007
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
大橋 守 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (70015535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久新 荘一郎 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (40195392)
辻本 和雄 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50017414)
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Keywords | SIMS / MS / MS / リンク走査 / 紫膜 / 脂質 / 電荷移動錯体 / コリンハライド / クラスターイオン |
Research Abstract |
二重収束質量分析計を反応の場とし、ソフトイオン化法(SIMS)とMS/MS法(リンク走査)を駆使することにより以下の新知見を得ることができた。 (1)高度好塩菌に含まれる脂質の構造決定:高度好塩菌の紫膜は太陽エネルギーを利用して光合成を行うレチノイド蛋白質を保持している。その脂質は従来phosphatidyl glycerophosphateと考えられていたが、(+)SIMS法でm/2900にMH^+が観測されたこと、更に(-)SIMSにみられるm/2899(M-H)^-イオンのMS/MS法による娘イオンスペクトルの解析から、そのメチルエステルであることが明らかとなった。メチル基がメチオニンから生合成されることも同位元素標識実験とSIMS法を組合せ、明らかにすることができた。マススペクトロメトリーを用いなければ解明できなかった構造である(質量分析連合討論会発表、J.C.S.Chem.Commun.印刷中)。 (2)(+)及び(-)SIMS法によりスフィンゴ脂質の分析法を確立した。(-)SIMS法によるセラミド脂肪酸の構造決定法を開発した(日本化学会春季年会、質量分析連合討論会発表)。 (3)EI法では各構成々分の混合スペクトルしかえられないが、NBAをマトリックスに用いるSIMS法により、(+)モードで電子供与体の分子イオン、(-)モードで電子受容体の分子イオンが検出されることを見出した。更にアニリン誘導体のSIMSスペクトルでlog〔MH〕^+/〔M^+°〕の値がHammett式の置換基定数σに対し直線関係となることがわかった。常識と異なり電子供与性置換基はプロトン化分子MH^+よりも、分子イオンM^+°を生成しやすいことを明らかにした(質量分析連合討論会発表)。 (4)コリン及びアセチルコリンハライドはSIMS条件下で、トランスメチレーション、脱アセチル化などをおこすことをクラスターイオンの解析に基づき明らかにした(36th ASMS Conf.Mass Spectrom Allied Topics発表)。
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[Publications] Kazuo Tsujimoto: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.
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[Publications] 土屋正彦: "質量分析法の新展開(現代化学・増刊15)" 東京化学同人, 288 (1988)