1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60430010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 均 東大, 海洋研究所, 教授 (00033126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 明夫 東京大学, 海洋研究所, 技官 (80107458)
堀江 絹子 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50013503)
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70143550)
児玉 幸雄 東京大学, 海洋研究所, 助手 (10013575)
野崎 義行 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70126142)
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Keywords | シロウリ貝 / 沈みこみ帯 / 沖縄トラフ / 海底熱水活動 / 硫黄バクテリア |
Research Abstract |
海洋科学技術センターの潜水艇「しんかい2000」および母船「なつしま」による相模湾初島沖シロウリ貝コロニーの研究(昭和61年6月)および沖縄トラフ、伊平屋海盆の熱水活動調査(昭和61年 月)に参加した。前者ではコロニー直上の海水を、また後者では周辺海水より2゜C高い温泉水を湧出する熱水マウンドを発見し、温泉水,温泉沈殿物,海底噴出火山岩を採取した。これら試料について、次の如き分析を行なった。 1.ICPによる海水、温泉水中の重金属成分の分析。 2.ICPおよび中性子放射化分析法による岩石試料の分析。 3.海水,温泉水中のメタン,ヘリウム,二酸化炭素の分析。 4.シロウリ貝およびシロウリ貝コロニー内外の堆積物の硫黄および炭素の化学的,同位体的分析。 これらの分析結果から次のことが明らかにされた。 1.シロウリ貝コロニーは沈み込み帯に特有なメタン,硫黄に富む湧水系に支えられている。シロウリ貝のエラは3.4%におよぶ硫黄を濃集し、【^(34)S】/【^(32)S】比からみてもChemoautotrophicな硫黄酸化バクテリアとの共生によってシロウリ貝は生存していると推定される。 2.沖縄トラフの熱水系は鉄とマンガン,メタンに富むが、マントル起源のヘリウムは中央海嶺やロイヒホットスポットに比して極めて少ない。火山岩の微量重金属組成やネオジウム,ストロンチウム同位体比からみても、沖縄トラフ伊平屋海盆の火山活動は島弧的であり、新しい海洋地殻が形成される前の状態にあることが推定される。
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