1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60430013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新村 陽一 阪大, 理学部, 教授 (60028074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冬広 明 大阪大学, 理学部, 助手 (90156951)
山成 数明 大阪大学, 理学部, 助手 (40116124)
松岡 延子 大阪大学, 理学部, 助手 (30028203)
小森田 喬志 大阪大学, 理学部, 講師 (90028209)
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Keywords | 金属錯体 / 溶解度相図 / キラル識別 / 自然分晶 / 光学分割 / ジアステレオマー |
Research Abstract |
1.「自然分晶の3成分系」についてはΛ-およびrac[Co(ox)【(en)_2】]【(meso-tart)_(0.5)】の2成分溶解度(5-60℃)および25℃における3成分系、Λ-[Co(ox)-【(en)_2】]【(meso-tart)_(0.5)】-Δ-[Co(ox)【(en)_2】]【(meso-tart)_(0.5)】-【H_2】O、を測定した。2成分系では光学活性体の方がラセミ体より4.5倍(5℃)から12倍(35℃)易溶であり低温の方がやゝ比は小さいものゝ、自然分晶しない。25℃で測定した3成分相図をみても、中央に大きなラセミ化合物の相があることが分った。ラセミ化合物と光学活性体が両方存在する不動点では、溶液の光学純度は98%であり、これからもラセミ化合物が難溶であることが分かった。 2.「ジアステレオマーとして分子付加物を生成する系」については、まず[Co【(aese)_3】]を系統的に合成光学分割するスキームを作った。一般に4成分系の測定には光学活性体の片方だけでなく両方共必要である。そこで今回の錯体については多くの酸化生成物の中からまずΛ-(R,R,R)・d-【H_2】tart体を得、その3液からd-【H_2】tartを除いた後、l-【H_2】tartでΔ-(S,S,S)l-【H_2】tart体を得、更にその3液からd-【H_2】tart又はrac-【H_2】tartによってrac-[Co【(aese)_3】]-rac-【H_2】tartを得た。rac・rac体は酸化生成物から直接rac-【H_2】tartによって得ることも出来る。rac・rac体は無水和物で光学活性体より水にかなり難溶であって、自然分晶しない。これは予備的な溶解度測定からも確かめられた。[Co【(aese)_3】]は室温では水溶液中や水-エタノール中でかなり不安定であり精製し難い。従って長期間にわたって測定の必要な4成分系の溶解度測定は、かなり困難である。そこで「自然分晶の3成分系」との関連で測定が比較的容易な、Λ-(R,R,R)・d-【H_2】tart-Δ-(S,S,S)・l-【H_2】tart-【H_2】Oの測定を進めている。 3.溶解度相図測定の対象となり得ると思われる新錯体として、数種のテルル酸配位のCo(【III】)多核錯体、ならびにβ-シクロデキストリンを配位した、Co(【III】)錯体の合成に成功した。
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[Publications] Kazuaki Yamanari: Inorg.Chem.24. 4600-4605 (1985)
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[Publications] Yoichi Shimura: Bull.Chem.Soc.Jpn.59. 2913-2914 (1986)
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[Publications] Kazuaki Yamanari: Inorg.Chem.
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[Publications] Akira Fuyuhiro: Bull.Chem.Soc.Jpn.