1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60430013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小森田 喬志 大阪大学, 理学部, 講師 (90028209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冬広 明 大阪大学, 理学部, 助手 (90156951)
山成 数明 大阪大学, 理学部, 助手 (40116124)
松岡 延子 大阪大学, 理学部, 助手 (30028203)
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Keywords | 金属錯体 / 溶解度相図 / キラル識別 / 自然分晶 / 光学分割 / ジアステレオマー |
Research Abstract |
Λー[C_0CO_3en_2]BrーΔー[C_0CO_3en_2]BrーH_2Oの2成分溶解度および5℃と25℃での3成分溶解度相図を作成した. ラセミ体は15.0℃以下で2水和物, 15.0℃以上で無水物となる. この無水物は光学活性体より約1.5倍易溶で赤外吸収スペクトルと固相とサンプリングにより自然分晶していることが分かった. この事情をよりはっきりさせるため3成分でみると, 25℃では典型的な自然分晶する相図が得られた. 5℃の3成分はラセミ化合物の2水和物が安定固相なので自然分晶しないが, この固相の溶解平衝が遅いため準安定状態で自然分晶することが分かった. ラセミ体の転移温度つまり自然分晶が起こり始める温度は2成分溶解度でははっきりしない. そこで不動点の5ー17.5℃の溶解度を3成分で調べることによって15.0℃と決定できた. ラセミ化合物の2水和物は空気中や真空中で結晶水を失って無水物になるが, これは上記の自然分晶した無水物と異なるのが赤外で分かった. この無水物は水中で速やかに2水和物に戻る. その詳細は次年度研究する. [Coen_3]^<3+>の上下をキャップした錯体,ΛーおよびΔー[CodiNOsar]X_3;X=Cl,Brの2成分溶解度とX=Clの25℃の3成分溶解度を測定したが,ラセミ化合物が安定で自然分晶は見つからなかった. ICo(ジメチルジチオカルバマト)(en)_2]X_2;X=ClO_4,Brの2成分溶解度を測定した. 自然分晶は見つからなかったが具化物の場合は特に光学活性体よりラセミ体が易溶でラセミ化合物がそれほど安足でないことが分かった. [Co(Lーleu)(NH_3)_4]Br_2ー[Co(Dーleu)(NH_3)_4]Br_2ーH_2Oの系について25℃で溶解度測定を行った. [C_0(Lーleu)(NH_3)_4]Br_2・H_2Oと[Co(DLーleu)(NH_3)_4]Br_2・H_2Oは赤外スペクトルが同一で固溶体の存在が予想されるが, 溶解度測定および固相の分析により固溶体の存在が明らかとなった. 金属錯塩でこのタイプの相図が得られたのは初めてである.
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[Publications] M. Kita, K. Yamanari, Y. Shimura: Bull. Chem. Soc. Jpn.
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[Publications] T. Komorita, M. B. Fujita, K. Kanamori, S. Hayashi, Y. Shimura: Bull. Chem. Soc. Jpn.