1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60430013
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小森田 喬志 大阪大学, 理学部, 講師 (90028209)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冬広 明 大阪大学, 理学部, 助手 (90156951)
山城 数明 大阪大学, 理学部, 助手 (40116124)
松岡 延子 大阪大学, 理学部, 助手 (30028203)
|
Keywords | 金属錯体 / 溶解度相図 / キラル識別 / 自然分晶 / ジアステレオマー / 光学分割 / ヘテロポリ酸 / シクロデキストリン |
Research Abstract |
(NH_4)_6[Co_2Mo_<10>O_<38>H_4]・7H_2OはD_2対称の構造をもち、光学分割された唯一のヘテロポリ酸である。この系ではラセミ体の水溶液から成長させた単結晶がCDスペクトルを示すことから、自然分晶の起こることを既に見出している。今回測定した2成分系の溶解度曲線は非常に複雑で、昇温過程と降温過程で各々別の曲線が得られた。昇温過程でみるとSrac/Sact=1.40(15℃)となり、自然分晶するという結果と一致する。この系のラセミ体は既にA、Bの2種類が知られており、X線講造解析により両者ともラセミ化合物であることが分っている。従って、これらに加えてラセミ混合物が存在することになり、相図を複雑にしているものと思われる。より詳細な知見を得るため今後3成分系の測定をする予定である。[Coー(en)_3]^<3+>から誘導できるカゴ型錯体[Co(diNOsar]X_3では、多数の塩が合成可能でX_3=Cl_3、Br_3、I_3、(SCN)_3、(OTs)_3、(SO_4)_<3/2>、(S_2O_3)_<3/2>、(NO_3)_3、Cl(NO_3)_2、Cl_2(NO_3)、Cl_<3/2>、(ClO_4)_<3/2>について溶解度を測定した。しかし25℃では、Cl_2(NO_3)を除くすべての塩で活性体がラセミ体より易溶となり、自然分晶は見出されなかった。Cl_2(NO_3)系については25℃における3成分系相図を測定したが、中央部分にラセミ化合物の相が存在し、自然分晶の可能性は否定された。又、[Co(en)_3]X_3、[Co(en)_2(tn)]X_3系についても、外圏イオンを変えて自然分晶の有無を系統的に調べたが、今の処確認できていない。シクロデキストリン(CDX)を配位させたCo(III)錯体[Coー(CDX^<2->)(en)_2]^+をSPーSephadexCー25に吸着させたカラムを調整し、アミノ酸を含む陰イオン性錯体[Co(nta)(DLーam)]^-の光学分割を試みた。その結果、Δー[Co(βーCDX^<2->)(en)_2]^+とΛー[Co(BーCDX^<2->)(en)_2]^+カラムを比較すると分割率、溶離順共によく似ており、キラル識別の主因がCDXの包接能であることが分った。
|
-
[Publications] Yoichi,Shimura: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 693-698 (1988)
-
[Publications] Masakazu,Kita: Bull.Chem.Soc.Jpn.62. 23-32 (1989)
-
[Publications] Kazuaki,Yamanari: Inong.Chem.28. 248-252 (1989)
-
[Publications] Kazuaki,Yamnari: J.Chem.Soc.,Chim.Commun.
-
[Publications] Takashi,Komorita: Bull.Chem.Soc.Jpn.