1985 Fiscal Year Annual Research Report
新しい機能性非シリケート酸化物ガラスの構造ならびに物性の研究
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60430020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
作花 済夫 京都大学, 化研, 教授 (10027021)
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Keywords | 【Ga_2】【O_3】含有ガラス / ナイオビウムガレートガラス / ラマン分光法 / Ga【O_4】四面体 / Nb$$O_6八面体 / 網目形成酸化物 |
Research Abstract |
ラマン分光法を用い【K_2】O(もしくは【Cs_2】O)-【Nb_2】【O_5】-【Ga_2】【O_3】ガラス中のGa及びNbの配位状態を調べた。ラマンスペクトルの解析は、ガラスのラマンバンドの強度比の組成による変化ならびに類似組成の結晶のラマンスペクトルとの比較により行った。 ガラスのラマンスペクトルには、約500【cm^(-1)】と約880【cm^(-1)】とに明確なバンドが観測された。特に約880【cm^(-1)】のバンドは【Nb_2】【O_5】含有量が10モル%と少量のときでさえ顕著に観測された。約500【cm^(-1)】のバンドは酸素によって四配位されたGaと架橋酸素とによる振動であり、約880【cm^(-1)】のバンドは結合距離の短いNb-O結合による振動であることがわかった。 これらのことより、上記ガラス中で、Gaは主に酸素に対し四配位しており、こうしてできたGa【O_4】四面体がガラス網目を形成しGaは網目形成カチオンとして働いていることが明らかとなった。また、Gaの周囲の構造は組成により系統的に変化することも明らかとなった。Nb-O振動のバンドは約880【cm^(-1)】という高波数領域に観察されたが、これはNbが網目形成カチオンとして働く可能性があることを示唆している。Nbは結合距離の短かいNb-O結合を有し、歪んだNb【O_6】八面体を形成していると考えられる。このNb-O結合は、【K_2】【O_1】【Cs_2】O含有量の増加にともない弱化してゆくことがわかった。 上記ガラスが、従来ガラス形成に必要とされていた単純ガラス形成酸化物を含まず、しかも通常の融液冷却法によって広い組成範囲で得られる原因は、(1)【Ga_2】【O_3】が網目形成酸化物として働くこと、(2)【Nb_2】【O_5】も網目形成酸化物として働き、Ga【O_4】四面体と歪んだNb【O_6】八面体とからなる網目を形成するためであると解釈することができた。なお、スペクトルのプロファイルは【K_2】Oを含有する系と【Cs_2】O含有する系とで類似しており、従ってガラス形成の理由も両者について同様であると考えることができる。
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