1988 Fiscal Year Annual Research Report
NMRスペクトルによる蛋白質の溶液内高次構造決定のための新しいストラテジー
Project/Area Number |
60430033
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
甲斐荘 正恒 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20137029)
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Keywords | 安定同体利用NMR / SIーNMR / プロテアーゼ・インヒビター / SSI / 安定同位体ラベルアミノ酸 / ^<13>C-NMR / 蛋白質高次構造 / 2次元NMR |
Research Abstract |
昨年度終了した関連試験研究(60880022:"安定同位体ラベルアミノ酸の多量調製法の確立と応用技法の開発")が順調に達成された結果、ラベルアミノ酸類が潤沢に利用できたことが、本研究における新しい安定同位体利用NMR技術の開発の効率的進行を可能とした。蛋白質の溶液内高次構造のプローブとして着目した主鎖カルボニル炭素^<13>CーNMRシグナルは予想どおり多彩な有用性を持つことが明らかとなった。帰属の確定したカルボニル炭素を起点とする主鎖および側鎖シグナルの帰属手法についても検討し良い見通しが得られた。^<13>C、^<15>Nーシフト相関2次元NMR(HSBC)や或いは〔1,2ー^<13>C_2〕アミノ酸を利用するαー炭素シグナルの帰属手法などは今後の蛋白製NMR研究にとって必須の技術となる。これらの手法により新たに帰属の確定したシグナルをもとに、さらに高磁場NMR(600MHz級)装置上で^1Hー検出実験や安定同位体利用3次元NMRを利用すれ先、より高感度で位置特異的構造情報が得られる。これらの応用手法の開発こそ我々の方法論の発展として、今後特に推進すべき重要課題である。このように我々の研究は尨大なデータと新手法を産み出すとともに、今後の蛋白質NMRにおける研究方向を明確に示すことができた点にも大きな価値がある。本年3月に大磯において開催した国際研究集会("安定同位体利用NMR技術による生体物質の活静発現機構の解明")においても、多くの安定通位体利用NMR技術を用いた先端的研究が報告されたが、それらの幾つかは明らかにこのような路線を意識している。蛋白質構造化学の基盤としての本研究の意義を正当に評価し、その遂行に御助力頂いた審査員及び文部省担当官各位に敬意を持って感謝する。今後のNMRによる高分子量蛋白質の構造化学的研究においては、装置の超高磁場化などが必須の条件となるので、一層の御援助を期待したい。
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[Publications] W.M.Westler: J.Am.Chem Soc.110. 4093-4095 (1988)
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[Publications] W.M.Westler: J.Am Chem.Soc.110. 6255-6258 (1988)
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[Publications] 甲斐荘正恒: 日本農芸化学会誌. 62. 1822-1827 (1988)
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[Publications] K.Akasaka: Proteins:Structure,Function,and Genetics. 4. 131-136 (1988)
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[Publications] K.Oda: Agric,Biol.Chem. 53. 405-415 (1989)