1987 Fiscal Year Annual Research Report
生物工学を用いた作物の葉緑体DNA構造解析と改変に関する研究
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60440008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
〓原 雄三 名古屋大学, 農学部, 教授 (70023405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 一三 名古屋大学, 農学部, 助手 (40023494)
平井 篤志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023470)
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Keywords | イネ / 葉緑体DNA / DNAライブラリー / アトラジン耐性 / psbA |
Research Abstract |
イネ葉緑体DNAのクローンライブラリーはBam HI断片とPst I断片をクローニングして完成し, 他の研究室と共同で全塩基配列の決定を目指し研究を進めている. 光合成に関与する遺伝子の内, 光化学系IIの反応中心を構成し, 除草剤アトラジンと結合することで知られているpsbAの全塩基配列を決定した. この遺伝子は353個のアミノ酸をcodeしていたが, すでに報告されている双子葉植物のSolanum nigrumのタンパン質と比べて, 塩基配列では85.71%の相同性しかなかったが, アミノ酸配例では4アミノ酸の違いだけで98.87%の相同性があり非常に保守的なタンパク質であることが明らかになった. チトクロームfの遺伝子については現在塩基配列を決定中であるが完成はしなかった. 細胞融合を用いた葉緑体ゲノムの改良法については, 融合による雑種植物体において葉緑体ゲノムがどちらか一方の親のものだけになり, 混合しないことが問題となっていた. その原因を調べるために, 雑種カルスの細胞レベルの葉緑体ゲノムとshootの葉緑体ゲノムを比べたところ, shootの方が2種の葉緑体ゲノムを持つ率が低かった. これは2種葉緑体ゲノムを持つ細胞の分化能が一種の葉緑体を持つ率が低かった. これは2種葉緑体ゲノムを持つ細胞の分化能が1種の葉緑体を持つ細胞よりも劣ることを示しており, 細胞融合によっても2種の葉緑体ゲノムが混合しない一つの理由と考らえる. 葉緑体中のチラコイド膜タンパクの内クロロフィル結合タンパンについて簡易検定法を用いたイネ葉緑体DNAに関する変異体の選抜については, 日本型に属する品種について検討を行ったが, バンドの差の見られるものはなかった. これはクロロフィル結合タンパクが遺伝的に安定であり, 葉緑体DNAに関する突然変異の発現が困難なことを示していると考えられるが, 野生稲の中にはこれらのバンドパターンの異なるものも見出されているので, さらに放射線照射等による突然変異誘発法の検討を行い, 葉緑体DNAに関する変異体の作出を目指す必要がある.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Futsuhara,Y.;Hattori,K.;Kitano,H.: Rice Genet. Newsletter. 4. (1987)
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[Publications] Jia,Y.;Abe,T.;Futsuhara,Y.: Rice Genet. Newsletter. 4. (1987)
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[Publications] Nishizawa,Y.;Hirai,A.: Jpn. J. Genet.62. 389-395 (1987)
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[Publications] Akada,S.;Xu,Y.;Machii,H.;Hirai,A.;Kung,S.: Plant physiol.83. 28 (1987)
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[Publications] Morikawa,H.;Kumashiro,T.;Kusakari,K.;Iida,A.;Hirai,A.;Yamada,Y.: Theor. Appl. Genet.75. 1-4 (1987)
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[Publications] Hirai,A.;Akada,S.;Sugiura,S.: "Applications of Plant Cell & Tissue Culture Ciba foundation Symposium No.137 ″Analysis of Chloroplast genomes in parasexual hybrid calli″" John Wiley & Sons Ltd., (1988)