1988 Fiscal Year Annual Research Report
生物工学を用いた作物の葉緑体DNAの構造解析と改変に関する研究
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60440008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
蓬原 雄三 名古屋大学, 農学部, 教授 (70023405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 一三 名古屋大学, 農学部, 助手 (40023494)
平井 篤志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023470)
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Keywords | 光合成 / 葉緑体 / イネ / タバコ / 細胞融合 / 突然変異 |
Research Abstract |
1.細胞融合による雑種細胞の葉緑体ゲノムと植物体再生の関係を調べた。葉緑体ゲノムの分析には従来のFraction Iタンパク質にかえ葉緑体DNAの特定の断片をプローブとするサザン法により行った。これにより、約100mgの組織で分析できることと、5%以下の混在でも検出できた。実験の結果は茎葉を分化し始めた雑種カルスにおいて、カルス組織では35%が2種の葉緑体ゲノムを保持していたが茎葉組織では22%しか含まず、2種の葉緑体を含む細胞は分化しにくいことが確認された。しかし分化したばかりの茎葉の22%が2種の葉緑体を含んでいることは、これらの茎葉が植物体に生育しにくいことを示しており、この点の解明が細胞融合による葉緑体ゲノムの改変に重要であることが明らかになった。 2.イネの光化学系の32KDタンパク質の遺伝子(psbA)の塩基配列を決定し、primer extensionとnorthern blot analysisを行い転写開始点と終結点を特定した。一次構造はイネと双子葉植物のタバコでも非常に共通性があった。また終結点にはステムループ構造がみられるが、熱力学的に非常に安定で、この構造より本遺伝子のmRNAがより安定であることを説明できると思われる。このため本遺伝子の転写開始点と終結点を用いた葉緑体の形質転換が最も有望と考えられる。また遺伝子実験施設との共同研究により、イネ葉緑体DNAの全塩基配列(134,525塩基)が決定できた。タバコと比較すると両者の間には大きな逆位が存在し、また逆位反復配列(IR)にある遺伝子が異なるなど葉緑体DNA自身が変化を繰り返していることを示しており、人為的な改変の可能性を示唆している。 3.チラコイド膜タンパク質の簡易検定法により、保存中の葉緑素突然変異体、特に、クロリナ突然変異系統について検定を行ったところ原品種と変異系統との間に明らかなバンドパターンの差が認められた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hirai,A.: Ciba Foundation Symposium:Applications of plant cell and tissue culture.137. 113-118 (1988)
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[Publications] Kanno,A.: Plant Science. 59. 95-99 (1989)
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[Publications] Balito,L.P.: Japan.J.Breed.39. 29-37 (1989)
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[Publications] Hiratsuka,J.: Mol.Gen.Genet.
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[Publications] Nishizawa,Y.: JPN.J.Genet.
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[Publications] Hattori,K.: Japan.J.Breed.