1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 芳雄 九州大学, 農, 教授 (60038148)
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Keywords | 内生菌根 / ダイズ / 黒色火山灰土 / りん酸吸収 / Glomus mosseae / Glomus etunicatus / VAM |
Research Abstract |
内生菌根が養分吸収に及ぼす効果は土壌中における移動が困難な養分に対して顕著であるとされている。本邦に広く分布する黒色火山灰土壌はりん酸の固定力が強く、特にりん酸の可給度および移動性が低い。そこで、黒色火山灰土壌における根粒菌ダイズ(フクユタカ)によるりん酸吸収に対する内生菌根の寄与を主として検討した。土壌殺菌はγ線照射によって実施した。内生菌根胞子は単離したGlomus mosseaeとG.etunicatusを接種した。 1.殺菌土では無りん酸区において、G.masseaeとG.etunicatusの接種は非接種に較べて大きい生育量、収量、およびりん酸吸収量をもたらしたが、それらは非接種りん酸施用には及ばなかった。りん酸施用区においても、胞子の接種によって生育量、収量、およびりん酸吸収量を非接種よりも増加させた。G.mosseaeがG.etunicatusよりもより有効であった。非殺菌土では、G.etunicatusの接種が無りん酸区で負の効果を与えたことを除いて、接種の効果は認められなかった。りん酸施用非殺菌土において、両種の胞子の混合接種によって生育量、収量およびりん酸吸収量の増加が認められた、品種AGS-2を使った前年の結果とは異なった。黒色火山灰土壌でも内生菌根のはたらきがあるが、圃場土壌に対しての、胞子の接種の有効性は土着菌との関係や植物の感受性と関連してさらに検討を必要とする。 2.【^(32)P】でラベルしたりん酸を加えた同土壌でダイズを53日間栽培し、吸収りん酸の比放射能を測定することにより、菌根のりん酸吸収機能を調べた。胞子の接種にかかわらず、土壌りん酸よりも肥料りん酸がより多く吸収された。二種の混合接種区の吸収りん酸の比放射能は非接種区のものよりも低かったので、菌根は吸収面積の拡大に加えて、土壌中の難溶性りん酸を吸収する機能を有する可能性が示唆された。
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