1986 Fiscal Year Annual Research Report
パッチを単位とする海洋動植物プランクトンの相互関係の研究
Project/Area Number |
60440016
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西沢 敏 東北大, 農学部, 教授 (30001572)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 直二 東北大学, 農学部, 助手 (10005639)
中村 恵江 東北大学, 農学部, 助手 (10005613)
谷口 旭 東北大学, 農学部, 助教授 (30002091)
|
Keywords | プランクトンパッチ / 前線帯 / 橈脚類の摂食応答 / 糞粒沈降フラックス |
Research Abstract |
1.三陸沖暖水塊縁辺に動植物プランクトンの特異的な集群が確認された。集群は動物と植物とで明確に分離されて出現するが、何れも前線帯の暖水側に片寄ってパッチを形成し、その中は1-3km程度である。動物群は植物群の両側に種毎に棲分けて数ヶの單種群として並列的に出現し、暖水側より列記して、Corycaeus spp,calyptopis euphausiids,cladocerans,〔植物パッチ〕,Acartia longiremis,Pseudocalanus minutusの順に列んでいた。各群はその縁辺では相互に重なっているが、ピークは空間的に分離していた。植物群は3km程の單一群として出現し、主としてRhizosolenia hebetata f.hiemalis,R.hebetata f.scmiskinaなどの親潮固有種で占められていた。前線帯におけるプランクトン群集の生態はこのような微少スケールの棲分けの上に成り立つものと考えられる。このことは又暖水塊縁辺にstreamerとして細く侵入する親潮水が、プランクトン相の上からも確認されたこととなる。 2.植物プランクトンのパッチに遭遇した橈脚類の摂食生態は、旧来の機能的応答のカィナティクスから予想される連続的摂食とは著しく異なることが、短時間(3hrs.)の培養実験を行ふことによって明らかになりつゝある。空腹状態の動物が餌に接触すると、機能的応答として予測されるより遙かに高い速度で摂食を開始するが、短時間の後には摂食を停止して、摂食に要するエネルギーの節約を計るもののようである。摂食肢を振動させて餌を集めるには、これらの微細動物は大量のエネルギー消費を伴なうから、以上のような行動様式は合理的な適応と考えられる。 3.トラップ垂下実験結果を整理し、中深層動物プランクトンの餌料として表層より沈降する糞粒が重要であることを認めた。糞粒は急速に再利用され、生態的反芻とも称すべき現象が、海洋動植物プランクトン群の相互関係の中に組込まれているものと考えられる。
|
-
[Publications] Tamiji Yamamoto: Deep-Sea Research. 33. 1729-1740 (1986)
-
[Publications] Hiroshi Sasaki: Deep-Sea Research. 34. (1987)
-
[Publications] Tamiji-Yamamoto: Bulletin of Marine Science(Univ.Miami). 37(2). 781 (1985)
-
[Publications] Tensi Ayukai: Journal of Oceanographic Society of Japan. 42. 487-489 (1986)
-
[Publications] 西沢敏 著,日本水産学会 編: "水産学シリーズ62 漁業からみた閉鎖性海域の窒素リン規制 【II】生物生産過程と窒素・リン 2.プランクトンフィーダー" 恒星社厚生閣刊, 12-18 (1986)