1988 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜の生合成と再利用過程に関する組織細胞化学的研究
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60440023
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Research Institution | Kyorin University School of Medicine |
Principal Investigator |
平野 寛 杏林大学, 医学部・解剖学教室, 教授 (10086481)
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Keywords | 組織細胞化学 / 細胞膜 / 基底膜 / グルコース・トランスポーター / 分化EGF |
Research Abstract |
(1)分化に伴うEGFの局在の変化を、ニワトリ胚表皮を材料とし、in vivoおよびin vitro系を用いて免疫組織細胞化学的に検索した。抗EGF抗体結合反応は、13日胚表皮では微弱であるが角化の進行に伴い増強し、17日胚では基底細胞(特に細胞膜)強い反応が認められた。孵化直後では、17日胚に比べて反応がやや弱かった。一方in vitroで角化を誘導すると、特に基底細胞に強い反応が認められた。EGF(100ng/ml)添加により角化を抑制すると、EGF自体の発現も抑制された。vitamin A存在下で角化を抑制し、且つ粘液化生を諾起すると、EGFの発現は増強し、表皮の全層にわたって強い反応が認められた。(2)ニワトリ胚皮膚の表皮と真皮とをそれぞれ単離し、基底膜を酸素処理により除去した後、in vitroで両者を再結合すると、表皮基底細胞の基底面に沿って出現するヘミデスモゾームに基底膜が形成され、次第に連続するようになった。しかし、真皮を予めvitamin A処理しておくと、基底膜本来の形成は抑制され不連続のまま止った。(3)各種組織におけるグルコース・トランスポーター(グルコース輸送体)の分布や局在を、ヒト赤血球トランスポーターに対する特異抗体を用いて免疫組織化学的に検索した。ラット腎では主として髄質に分布し、とりわけ集合管、Henleの太い部位、近位尿細管のS3などに見出された。細胞レベルでみると、細胞の基底・側壁部に限局しており、細胞頂部には検出されなかった。(4)ヒト血小板の膜系に存在する複合糖質の分布がどのように変化するかを、血小板の活性化に伴う顆粒放出の各段階で、レクチンを用いて電顕細胞化学的に検索した。血小板の細胞膜、開放小管系膜、顆粒の限界膜などにみられるレクチン結合パターンは、刺激(ADP、テレオシジン投与)の前後で様相を異にし、顆粒放出の過程で膜系が相互に融合し合う可能性を示した。(5)論文(13篇)、書籍(5篇)、口演(38席)の形で発表(一部予定)した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Akimoto Y;Obinata A;Endo H;Hirano H: Cell Tiss Res. 254. 481-485 (1988)
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[Publications] Takata K;Akimoto Y;Ogura K;Yamagishi S;Hirano H: J Electr Microsc. 37. 346-350 (1988)
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[Publications] Hori T;Nishiyama F;Anno Y;Tanaka S;Watanabe T;Hirano H: Neurosurgery. 23. 52-57 (1988)
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[Publications] Kawakami H;Hirano H: Histochemistry. 91. 1-4 (1989)
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[Publications] Kanai Y;Kawakami H;Kurohmaru M;Hayashi Y;Nishida T;Hirano H: Histochemistry. 92. (1989)
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[Publications] Aoki D;Kawakami H;Nozawa S;Udagawa Y;Iizuka R;Hirano H: Histochemistry. 92. (1989)
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[Publications] Hirano H;Akimoto Y;Kawakami H;oda Y;Kasai K: "Localization of B-galactoside-binding lectin in embryonic chick epidermis.ln:Glycoconjugates in Medicine(OhyamaM&Muramatsu T eds)" Professional Pastgraducte Services., 8-13 (1988)
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[Publications] Yokoyama M;Nishiyama F;Hirano H: "Surface morphology and lectin-binding site of normal and neoplastic urothelium in rat and human urinary bladder.In:Glycoconjugates in Medicine(Ohyama M&Muramatsu T eds)" Professional postgraduate Services., 264-269 (1988)