1986 Fiscal Year Annual Research Report
神経機構におけるセロトニンニューロン系の機能的意義-免疫組織化学的アプローチ
Project/Area Number |
60440024
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
佐野 豊 京府医大, 医学部, 教授 (00079683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 秀一 京都府立医科大学, 助手 (60150570)
山田 久夫 京都府立医科大学, 助手 (00142373)
河田 光博 京都府立医科大学, 講師 (60112512)
松浦 忠夫 京都府立医科大学, 助教授 (30079686)
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Keywords | セロトニンニューロン / 縫線核 / 免疫組織化学 / 層的分布 / 可塑性 / 脳移植 |
Research Abstract |
セロトニンニューロンについて計測的研究を行い、マウス・ラットおよびサルでは、それぞれ総数25,861個、49,838個、136,400個の細胞体が、10領域に分かれて脳幹正中領域を主体に分布していることを明らかにした。領域中背側縫線核はセロトニンニューロンの最大の集積部位で、ラットでは総数の54.5%、サルでは57.8%がこの核に集中して存在していた。 セロトニン線維は、中枢神経系の層的分化に対応した分布様式を示し、大脳皮質、外側膝状体、上丘、小脳皮質、脊髄後柱の各部位において、特徴的な密集層を形成することを明らかにした。セロトニン線維の部位による分布の濃淡は、このニューロン系の機能的意義の解析に有力な手がかりを与えるものと考えられ、視覚路系および錐体外路系に属する核群につき、光顕レベルでの分布密度と同時に、電顕的にシナプスの構造的特徴をも明らかにしつつ、それぞれの系に対するセロトニンの伝達機構の調節者としての意義を追究した。 セロトニンニューロンの軸索は、5,6-dihydroxytryptamineの脳室内投与によって強く障害され、一過性変性に陥るが、時間的推移に伴い、残存した軸索先端から新たな分枝を出芽する。この場合、再生する線維はかならずしも以前の分布量と等しい濃淡をもって修復を示すのではなく、部位によって、正常例に比し極端に高い、あるいは低い密度の分布を示すことが判明した。すなわち、セロトニンニューロンの軸索は、再生に際して、特定の部位と高い関連性を示しつつ伸長と分岐を繰り返すのである。 背側縫線核を含む脳組織を、幼若ラットから摘出し、脳室各部に移植する実験を行った。その結果、セロトニンニューロンは比較的容易に受容者脳内に生着し、軸索を伸長させることを明らかにした。再生軸索の分布の特性の解析が本研究の今後の課題である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Ueda: Cell Tissue Res.243. 249-253 (1986)
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[Publications] T.Hayashi: Histochemistry. 84. 423-425 (1986)
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[Publications] S.Ueda: Neurosci.Lett.68. 7-10 (1986)
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[Publications] T.Matsuura: Cell Tissue Res.245. 453-456 (1986)
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[Publications] H.Sako: Histochemistry. 86. 1-4 (1986)