1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440035
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 慶一 東海大, 医学部, 教授 (00055865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 寛 東海大学, 医学部病理学, 講師 (80138643)
守内 哲也 東海大学, 医学部細胞生物学, 講師 (20174394)
横山 清七 東海大学, 医学部外科学, 助教授 (50096278)
松崎 松平 東海大学, 医学部内科学, 助教授 (40110902)
長村 義之 東海大学, 医学部・病理学, 助教授 (10100992)
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Keywords | 脂質過酸化 / 脂肪肝 / グルタチオン・ペルオキシダーゼ / 【CCl_4】 / 蛋白合成阻害剤 / hyperplastic nodule(過形成性結節) |
Research Abstract |
前年(60年)度精査したglutathione peroxidase(GSH-PO)の細胞生物学的特性を基盤に,脂質過酸化が発生する組織学的,超微形態学的"場"の検討の面から各種細胞傷害のPathogenesisにおけるその意義を追求した。 【I】肝脂肪変性(脂肪肝)における脂質過酸化:ラットに【CCl_4】など肝細胞傷害性刺激(薬物など)、その刺激の種の違いにより、小葉中心性と周辺性の脂肪肝に明確に分けられた。A.小葉中心性脂肪肝:【CCl_4】がその代表的なもので、ラジカル発生から脂質過酸化を起すことをその傷害の主機序とするものであった。前年度の報告にも見られた様に、生体内でもっとも有効な過酸化脂質消去作用を有するGSH-POは、肝小葉周辺部に多く、中心部には極めて少ない所から、過酸化脂質蓄積が脂肪変性の主因となっていることが確認された。B.小葉中心性脂肪肝:エチオニン、4-aminopyrazolopyrimidine(4-APP)の様な蛋白合成阻害剤によって招来された。これらによって、アポ蛋白の合成阻害によるリポ蛋白の生成、分泌低下が原因となって、脂肪の排出阻害→蓄積が起ることがその機序とされたが、小葉周辺に多いGSH-POの合成も阻害される所から、その部位における過酸化脂質蓄積もその要因となっていることが示唆された。事実、リポ蛋白の分泌阻害は来たすが、蛋白合成阻害(GSH-POも含む)や、脂質過酸化をもたらさないオロチン酸投与では、脂肪肝発生が数日遅かった。 【II】3-methyl DABによる発癌過程におけるGSH-POの変動と脂質過酸化:DAB投与後6〜8週で、前癌病変といわれる"hyperplastic nodule(HN)"の発生を見たが、この部分では、GSH-POが選択的に減少していた。一方、これらDAB投与ラットに(1)脂質過酸化を顕著に発生せしめる【CCl_4】と(2)それを起さないオロチン酸を投与したが(1)ではHNに脂肪変性を認めなかったが、(2)では顕著であった。現在その機序究明中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 渡辺慶一: 肝胆膵. 11. 861-868 (1985)
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[Publications] 村越正典: Biomedical Science. 6. 88-91 (1986)
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[Publications] 吉村真一: サイエンスフォーラム刊「トキシコロジーフォーラム」. 9. 289-294 (1986)
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[Publications] Sonoo Mizuiri: Renal Physiol Basel. 9. 249-256 (1986)
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[Publications] Masanori Murakoshi: Acta Histochem Cytochem. 19. 125-133 (1986)