1985 Fiscal Year Annual Research Report
有害金属の脳血液関門通過に影響を与える因子解明の実験的研究
Project/Area Number |
60440040
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 誠哉 筑波大学, 社医, 教授 (50080619)
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Keywords | マンガン / メチル水銀 / セレン / 脳室内投与 / 蓄積 / 自発行動量 / カテコールアミン |
Research Abstract |
昭和60年度に行った研究概要及びその成績は下記の如くであった。 1.マンガンをラットの側脳室又は尾静脈から投与した。ラットの体重及び臓器重量は側脳室投与群の方が低下した。脳各部位でのマンガン濃度は側脳室群の方が高かったが、肝中濃度は低値となった。しかし、脳からの流出は大きい結果であった。 2.0,30,40及び50μgのメチル水銀を1週間側脳室に連続して投与した。投与した水銀の大部分は血中に流出して、脳以外の臓器への蓄積がみられた。しかし、これら臓器中の水銀濃度は、投与濃度に依存して蓄積した。また他の投与方法と比べても同様の蓄積傾向がみられた。 3.ラットの側脳室に高濃度のメチル水銀を連続投与し、ラットの自発行動量及び臓器中の水銀値を測定した。8日頃の脳中水銀値が最大となり、明期の自発行動量は増大した。またこの時点における日周リズムは乱れが見られ、行動量と飼料摂取量との間に相関関係がみられなくなった。 4.ラットの側脳室にメチル水銀とセレンを単独又は併用して投与した。併用投与群の方が、投与部位からの流出が大きく、水銀の脳での拡散が高くなった。同時に脳の神経伝達物質であるカテコールアミンは水銀が拡散した部位でも変化し、低濃度の水銀でも影響がみられた。 5.ラットにメチル水銀を連続投与し、後肢交叉現象がみられる時点までのカテコールアミン変化を追跡した。初期段階ではこれら神経伝達物質は増大したが、後肢交叉現象がみられる時点では逆に減少し神経伝達物質のターミナルでの損傷がうかがわれた。 6.妊娠後期にメチル水銀を投与した仔ラットは正常であったが、日周リズムに遅延する効向がみられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 医学と生物学. 111-4. (1985)
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[Publications] 医学と生物学. 110-3. (1985)
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[Publications] Toxicology. 36. (1985)