1986 Fiscal Year Annual Research Report
有害金属の脳血液関門通過に影響を与える因子解明の実験的研究
Project/Area Number |
60440040
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 誠哉 筑大, 社会医学系, 教授 (50080619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下條 信弘 筑波大学, 社会医学系, 講師 (00080622)
山口 克己 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (10101312)
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Keywords | 水銀化合物 / 自発行動量 / サーカディアンリズム / ウルトラジアンリズム / 神経伝達物質 / チロシン / HPLC-ICP / 温度環境 / 中毒発現 / Sアミノ酸 |
Research Abstract |
昭和61年度に行った研究概要及び成績は下記の通りである。 1.メチル水銀・エチル水銀及びフェニル水銀を脳室内に1週間連続投与した場合、ラットの自発行動量は水銀の毒性に対応して行動量が低値を示し、脳画部位(10分画)の水銀濃度はメチル水銀、エチル水銀、フェニル水銀の順に蓄積した。又体重の減少度合も毒性の強さに依存した知見を得た。 2.ラットのサーカディアンリズム及びウルトラジアンリズムの解析法として最大エントロピー法を開発した。この手法で、メチル水銀とセレニウムを各々単独又は併用してラットの死亡時まで投与し、このリズムを解析した結果、メチル水銀群のサーカディアンリズムは消失しなかったが、併用ラットは消失した。また、8時間のウルトラジアンリズムが最も早く減少し水銀中毒の中毒の進行をみる有効な手段であると考えられた。 3.60年度にはメチル水銀が脳内の神経伝達物質に影響することを明らかにしたが、これら神経伝達物質の前駆体の酵素に与える影響を研究した結果、チロシンから出発するこれら酵素の活性を減少することを明らかにした。このことから、神経伝達物質そのものの合成機能をメチル水銀は障害することが示唆された。 4.温度環境を11℃、22℃、33℃の三段階に分け、メチル水銀を投与したラットの脳内の神経伝達物質(ドーパミン、ノルエピネフィルン、セロトニン)の経日変化を測定し、温度環境因子によるメチル水銀発現機構について解明を試みた。 5.HPLC-ICPを使って金属と結合したS化合物を分離してその金属を同時測定をすることを可能にした。この結果S化合物はグルタチオンやシスティン等のアミノ酸であることが判明したことから、アミノ酸が金属移動に関与していることが示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 下條信弘,佐野憲一,渡辺博且,山口誠哉: 日本衛生学雑誌. 41. 800-806 (1986)
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[Publications] 山口誠哉,鈴木将之,下條信弘,佐野憲一: 水俣病に関する総合的研究. 37-43 (1986)
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[Publications] K.Suzuki;H.Sunaga;E.Kobayashi;N.Shimojo.: Toxicology and Applied Pharmacology. 86. 466-473 (1986)
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[Publications] Kazuo T. Suzuki;Etsuko Kobayashi Hiroyuki Sunaga;Nobuhiro Shimojo: Analytical Letters. 19. 863-873 (1986)
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[Publications] 下條信弘,山口誠哉: 医学と生物学. 114. (1987)
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[Publications] 小林裕一,下條信弘,渡辺博且,佐野憲一,長嶺聡,名倉広明,山口誠哉: 第57回 日本衛生学会総会.
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[Publications] 山口誠哉,下條信弘,渡辺博且: "熱傷、環境障害、溺水(救急医療の基本と実際)" 情報開発研究所, 13 (1985)
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[Publications] 下條信弘: "新薬物療法、85年版「水銀¨" メジカルビュー社, 1 (1985)