1988 Fiscal Year Annual Research Report
有害金属の脳血液関門通過に影響を与える因子解明の実験的研究
Project/Area Number |
60440040
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Research Institution | The University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 誠哉 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50080619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 憲一 筑波大学, 社会医学系, 助手 (50098852)
下條 信弘 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (00080622)
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Keywords | 有機水銀 / セレン / グルタチオン / システイン / 最大エントロピー法 / サーカディアンリズム / カテコールアミン |
Research Abstract |
各種有機水銀と修飾因子を同時投与し、水銀の脳血液関門通過とそれに伴う障害を行動学的・神経学的・毒性学的に検討し、下記の結果を得た。 1.有機水銀の脳血液関門通過を修飾する因子として、セレン、グルタチオン、システインの役割を明らかにした。即ち、セレンは脳の各画分で水銀の蓄積を上昇させ、しステインは糞尿中への水銀排泄を促進して臓器中の濃度を低下させる。グルタチオンは水銀と等モル比で水銀蓄積を行なうが、過剰モルの場合には逆に減少作用となった。 2.有機水銀による中枢神経障害を早期に発見する方法として、高速フーリエ変換法と最大エントロピー法のプログラムを作成し、メチル水銀及びセレニウムを投与したラットでリズム解析を行った。いずれの群も8時間リズムが最も早く破壊され、メチル水銀群のサーカディアンリズムは破壊されなかったが、セレン併用群は延命効果がみられたが、脳中水銀濃度は高値を示し、これらリズムの破壊が認められた。リズム解析結果は高速フーリエ変換法、最大エントロピー法のいずれの方法でも一致した。また有機水銀を早期に投与した場合、無投与群に比べて、30ppm及び60ppm群のサーカディアンリズムの確立が遅延した。 3.メチル水銀及びセレニウムを単独または併用して側脳室に1回及び連続して投与した場合、セレニウムを併用して投与した方が脳の後部に分散した。一方、同様方法でエチル水銀、フェニル水銀を投与した場合、脳への水銀蓄積はフェニル水銀が最も低値で、メチル水銀が高値となった。 4.微量のメチル水銀を投与した場合でも、脳内のカテコールアミンは、特に神経終末部で変動がみられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 下條信弘,長嶺聡,山口誠哉: 医学と生物学. 114. 329-332 (1987)
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[Publications] 佐野憲一,下條信弘,鈴木将之,山口誠哉: 日本衛生学雑誌. 42. 821-826 (1987)
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[Publications] 渡辺博且,下條信弘,山口誠哉: 産業医学. 30. 46-47 (1988)
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[Publications] 渡辺博且,下條信弘,佐野憲一,山口誠哉: 日本衛生学雑誌. 43. 688-693 (1988)
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[Publications] H.Watanabe;N.Shimojo;K.Sano;S.Yamaguchi: Research Communications in Chemical Pathology and Pharmacology.60. 57-69 (1988)
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[Publications] 山口誠哉,本間志乃,下條信弘,佐野憲一: 日本公衆衛生協会. 52-54 (1988)
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[Publications] 山口誠哉,下條信弘: "新薬物療法" メジカルビュー社, 770-771 (1988)
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[Publications] 下條 信弘: "熱傷・環境障害・溺水" 情報開発研究所,