1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440041
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
永野 耐造 金沢大学, 医, 教授 (20073679)
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Keywords | 法医血液型学 / 法医中毒学 / 組織の熱変化 / 超微構造 / 血液型抗原 / 免疫組織細胞化学 / 揮発性薬毒物 / 医薬品 |
Research Abstract |
高度焼損死体の個人識別および死因究明の観点から、臓器組織の熱変化と血液型活性、並びに焼けた組織内における薬毒物保持に関する基本的問題を解明するため実験的研究を行っている。 1.ヒト組織細胞の熱変化と血液型活性 熱凝固(100℃)肝組織では光顕的形態はほぼ保たれているが、電頭的に膜構造の均質化、膜上および細胞内物質の塊状形成が観察された。炭化直前組織は光顕および電顕的に無構造化しており、光顕レベルでの検索により、肝組織内管腔様構造や血塊内の膜様物に限局したABH活性の残存を認めた。非加熱組織では、蛍光および酵素抗体法により、肝血管内皮や胃粘膜壁細胞内にABH活性が確認され、モノクローナル抗体で極めて特異的な結果が得られた。現在、熱変化組織内の型活性変化をもあわせ免疫電顕的に検索している。 2.高度焼損死体の法医中毒学的研究 エタノールおよびトルエンを含有させた卵白凝固塊を加熱しそれらの逸散を基本的に検討すると、いずれも深部熱凝固部(約120℃)に最も多く残存したが、炭化直前層(約200〜250℃)からでも検出し得た。次いで実験的急性中毒状態のウサギ臓器を炭塊状になるまで強く焼損させ、上記各薬毒物の残存率をみると、エタノールは肝で約55%、トルエンは大脳で約50%と最も多く残存し、両物質とも肺での残存率が約10%と最も低かった。同時に中毒状態のラット屍を高度に焼損させた場合(人屍焼損第4度相当)、エタノールは肝,心筋,腎から、トルエンは肝と腎から証明された。さらに、非放射性同位体を用いてGCーMS法分析により、焼けた組織内から検出された上記薬毒物が生前投与されたものと確認された。現在、バルビタールおよび覚醒アミンについてGC-MSおよびHPLC法による研究に着手し検索を進めつつある。
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Research Products
(1 results)