1985 Fiscal Year Annual Research Report
計量診断のための次世代コンピュータソフトウエアの研究
Project/Area Number |
60440043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古川 俊之 東京大学, 医, 教授 (20101082)
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Keywords | 次世代コンピュータ / 新しい推論エンジン / 階層的メタ・ルール / 認識スキーマのゆらぎ / 人工知能型推論 |
Research Abstract |
次世代コンピュータの診断学への応用のために、診断過程の「ゆらぎ」の客観的記述から診断モデルの体系化を試みた。 (1)新しい推論エンジンの作成:本年度は認識スキーマの階層化・並列化によって、知識間の競合を解消する方法の開発から着手した。診断における曖昧性の本質は、データの欠落や知識の欠如に起因する「判断の留保」であることが多く、これまでの推論エンジンが取り入れてきた確実度(Certainity Factor)のような確率的に表現可能なものではない。そこで階層的メタ・ルールを用いる推論エンジンを作成し、4段階の階層的認知構造を設計した。仮説形成過程では、異る情報源から可能な全ての仮説を提出する。仮説排除過程では留保条件となる排除規則によって不適切な仮説を排除する。一貫性検証過程では残った仮説相互のマッチングによって矛盾のないことを調べる。 仮説選択過程は情報源の精度によって順位を付ける。この方式を輸液コンサルテーションに応用した結果、【◯!1】従来の論理代数では排除規則が複雑すぎて、論理の妥当性の検討が容易でなかったのに対し、モジュール化した階層論理は点検のみならず交換が容易で、【◯!2】また確実度のように事実上決定不可能なパラメータも必要としない方法であることが分かった。(2)認識スキーマのゆらぎに対する強靭性テスト:入力情報を部分的に隠蔽し、それによって診断結果に生じるゆらぎの大きさを検討した。輸液コンサルテーションの症例のプロトコールを人為的に改変した実験では、階層的推論エンジンを用いることによって入力ミス程度のゆらぎは完全に排除できることが分った。これは人間の「充分な常識」による判断安定化と同じ機構と考えられる(3)自己拡張型知識システムの構築:CAI機能の整備を中心に開発体制充実をおこなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 医用電子生体工学研究会資料. 85-3. (1985)
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[Publications] 医用電子と生体工学. 23-特別号. (1985)
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[Publications] 医用電子と生体工学. 23-特別号. (1985)
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[Publications] 第5回医療情報学連合大会論文集. (1985)
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[Publications] 医用電子と生体工学. 24-特別号. (1986)