1986 Fiscal Year Annual Research Report
計量診断のための次世代コンピュータソフトウエアの研究
Project/Area Number |
60440043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古川 俊之 東大, 医学部, 教授 (20101082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 博 東京大学, 医学部医用電子研究施設, 講師 (60155158)
開原 成充 東京大学, 医学部, 教授 (30010234)
杉本 恒明 東京大学, 医学部, 教授 (60019883)
尾上 守夫 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70013076)
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Keywords | 次世代コンピュータ / 認識スキーマのゆらぎ / 多変量解析モデル / 逆問題モデル / 知識工学モデル |
Research Abstract |
次世代コンピュータの診断学への応用のために、主としてソフトウエアの充実、とくに膨大な蓄積のある統計モデルや純工学的な逆問題解過程などと、認知工学的手法を包括する診断モデルの体系化をめざし、診断過程の「ゆらぎ」の客観的記述から診断過程の評価実験を試みた。[1]不完全データ統計手法にかんして、多変量解析のためのデータ欠落を仮定したサンプルを作り、(1)欠落分だけ次数を縮小する、(2)欠落データを標準値で補う、(3)欠落データを多変量解析的に補完する方法を比較した結果、最大エントロピー法によって妥当性の高い推定が可能であることを証明した。最大エントロピー法はあいまいさと信頼性のトレードオフ条件を求めるために利用できることが分かった。[2]観測データの誤差が、生体系の「ゆらぎ」によると仮定したときは、標準値代入と等価であるので、一種の収斂効果により最大エントロピー法との組み合わせで最良の予測精度がえられ、実験条件として適当でないことが分かった。[3]知識工学手法における「ゆらぎ」の効果は、作意的にデータを改変・欠落させた場合、推論に対する影響を見た。(a)コンサルテーションシステムでは知識ベースが整備されていれば、データ改変に強靭に抵抗し妥当な推論を導くことができるのを証明した。(b)冠動脈造影像の自動認識過程を事例として、先験的な知識を用いてエッジラインの欠損を補償することができた。[4]これらの研究を通じて生体の「ゆらぎ」はむしろ準安定状態のあらわれであり、データ処理上にも安定化要素である可能性が示唆された。[5]したがって生体系の「ゆらぎ」は依然として診断精度の決定要因であるが、熱雑音モデルのような統計法則に基く本質的な精度限界の主要因と考えられた。[6]前年度に作成した階層推論フィルターを診断コンサルテーションシステムに応用し、実用化への有効性を確かめた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 古川俊之: 数理科学. 23. 57-63 (1985)
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[Publications] 古川俊之,田中博: 綜合臨床. 34. 669-672 (1985)
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[Publications] 田中博,古川俊之 他: 医用電子と生体工学. 23. 520 (1985)
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[Publications] 田中博,原正一郎,古川俊之 他: 医用電子と生体工学. 24. 173 (1986)
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[Publications] 田中博,洪有錫,古川俊之: 第14回日本行動計量学会大会発表論文抄録集. 27-28 (1986)
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[Publications] 洪有錫,田中博,古川俊之: 第6回医療情報学連合大会論文集. 587-588 (1986)
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[Publications] 古川俊之: "「予測」:病気の予後予測" 朝日出版社, 0)355(167-21 (1986)
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[Publications] 古川俊之: "「エキスパートシステムその最新ツールと事例集」:輸液コンサルテーションシステム(FLUIDEX)" 日本工業技術センター, 411(187-203) (1986)