1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440044
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
平山 千里 鳥取大学, 医, 教授 (90037333)
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Keywords | 肝疾患 / 肝硬変 / 分枝鎖アミノ酸 / 3メチルヒスチジン / テストステロン / エストラジオール |
Research Abstract |
慢性肝疾患、とくに肝硬変においては、窒素出納が負に傾いているが、この理由の一つに筋肉蛋白の代謝異常があげられる。一般に肝硬変では血液遊離アミノ酸、とくにバリン、ロイシン、イソロイシンなど分枝鎖アミノ酸(BCAA)濃度が低下しており、また尿中3メチルヒスチジン(3MH)排泄量が増加している。この所見は、肝硬変では筋肉のエネルギー代謝の異常により、筋肉蛋白の分解が亢進している可能性を示唆している。肝硬変患者にBCAA含有量の多いアミノ酸混合液を静注すると、血漿BCAA濃度が上昇し、同時に尿中3MH排泄量が減少する。この所見は、肝硬変にみられる血漿BCAA濃度の低下と筋肉蛋白の分解亢進が密接に関連する事を示しているがその機序は不明である。 肝硬変にみられる筋肉のアミノ酸、蛋白代謝異常に関しては、生体の代謝異常の一環を形成しており、その理由に内分泌代謝異常が考えられる。事実肝硬変では高グルカゴン、高インスリン血症がみられるので、アミノ酸代謝が亢進する可能性があるが、しかしこれらの内分泌異常が筋肉蛋白の分解を亢進させる可能性はすくない。むしろ肝硬変にみられる低アンドロジエン状態が筋肉の蛋白合成を障害し、分解を亢進する可能性が強い。肝硬変患者14例と年令、性がマッチする非肝疾患14例について、血漿テストステロン(T)、エストラジオール(E)濃度と、血漿BCAA濃度、尿中3MH排泄量との関係を検討した。その結果 血漿T濃度は血漿BCAA濃度と相関し また血漿TE比は、尿中3MH排泄量と負の相関を示した。以上の成結から、肝硬変にみられる筋肉のアミノ酸・蛋白代謝異常は、性ホルモン代謝異常と関連する事、また負の窒素出納の原因となりうる事などが推定された。
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