1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森岡 恭彦 東大, 医学部, 教授 (10048952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉見 富洋 東京大学, 第1外科, 医員
袖山 元秀 東京大学, 第1外科, 医員
石丸 正寛 東京大学, 第1外科, 医員
長尾 桓 東京大学, 第1外科, 助手 (90143487)
河野 信博 東京大学, 第1外科, 講師 (40010160)
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Keywords | ブタ / 肝移植 / カフ法と一時的カフ法 / 大動脈遮断 / サイクロスポリン |
Research Abstract |
同所性全肝移植におけるレシピエント手術に関し、無肝期に体外静脈バイパスを用いる方法と大動脈遮断を行う方法を比較したところ24時間生存率に差はなかった。また、門脈と肝下部下大静脈の吻合にカフ法を行った場合と従来の手縫いを行った場合ではカフ法を行ったレシピエントの生存率が良好であった。当初は全て大動脈遮断法でレシピエント手術を行う予定であったが、大動脈遮断法では手術中の全身管理に注意が必要であり、実験的肝移植では諸データが安定すると考え、現在では全て体外静脈バイパスを用いてレシピエント手術を行っている。生存例について検討すると胆道系合併症が最も重要であると考えられた。胆道系合併症としては、吻合部狭窄、bilesludge、胆道感染が頻発した。吻合部狭窄については、Tチューブを3週間留置することで減少したが、bile sludgeに関しては原因が移植肝の保存状態によるものか、拒絶反応が関与したものかの判定も困難で今後の大きな問題と考えられた。また、カフ法は肝移植における静脈吻合には極めて有用であるが、長期的には吻合部の慢性狭窄が必発することが判明した。これに対し、我々は「一時的カフ法」を考案し肝移植における門脈と肝下部下大静脈の吻合に用いたところ極めて有用であった。現在における最長生存例の生存期間は約2年で現在も生存中である。超音波血流量計を用いた血流量測定については諸条件の影響による変動が大きく、データの解析は極めて困難と考えられる。また、サイクロスポリン投与による免疫抑制実験系では、感染が大きな障害となり容易には長期生存例が得られなかった。さらに、肝の穿刺生検を行うため移植後のブタに麻酔の侵襲のみ負荷しても死亡する例があるなど、データの集績にはさらに次年度の研究が必要と考えられた。
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[Publications] 森岡恭彦他: 臨床水電解質. 6(2). 141-144 (1986)
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[Publications] 河野信博他: 治療学. 16(6). 791-794 (1986)
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[Publications] 後藤振一郎: 日本外科学会雑誌.