1985 Fiscal Year Annual Research Report
肺リンパ系と各種肺疾患の発症および進展との関連性に関する基礎的ならびに臨床的研究
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60440062
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡田 慶夫 滋賀医科大学, 医, 教授 (10106825)
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Keywords | 肺内リンパ管 / 肺の輸出リンパ管 / 肺の所属リンパ節 / 肺癌のリンパ節転移 / 制癌剤の径リンパ性投与 / 制癌剤のリポゾーム / 両側開胸術 / 縦隔郭清術 |
Research Abstract |
ヒトの肺内における肺内リンパ管および輸出リンパ管の分布ならびに走行に関して詳細な解剖学的検索を行ない。その大要を明らかにした。それらの中で、【◯!1】下肺葉底区内側からの輸出リンパがきわめて高率に腹腔内に入り、胃噴門部および膵臓周囲部のリンパ節に注ぐことを明らかにしたこと、【◯!2】心臓の輸出リンパと肺のそれとは気管分岐部付近で合流することを確かめたこと、【◯!3】反対側縦隔リンパ節への吻合路を詳細に検討したこと、などは臨床的にも重要な意義を有するものといえる。 肺癌はしばしば反対側縦隔リンパ節に転移をきたし、これが肺癌治療の隘路になっているので、経リンパ行性に制癌剤を投与し、これを反対側まで波及させる方法の開発を試みた。使用薬剤はアドリアマイシンで、開胸手術時にこれを肺胸腔下リンパ管から注入するとともに気管分岐部リンパ節に注入して反対側リンパ系に流入させる方法である。並行して行なっている動物実験によれば、癌転移がみられるリンパ節にも制癌剤は到達し、また制癌剤の剤型としてはリポゾームのように局所停留性の高いものが好ましいことが判明した。 CT像などによって、術前からすでに反対側縦隔リンパ節への転移が予想されている肺癌症例に対しては、制癌剤注入法よりもさらに積極的な治療法が必要である。この点を考慮し、胸骨正中切開、両側開胸による縦隔リンパ節郭清法についても検討した。 リンパ節およびリンパ組織の免疫学的関与に関しては、2方向の動物実験を行なった。一つはわれわれが開発したウサギ浅腹壁リンパ管を用いる実験モデルにより移植癌のリンパ行性転移に対する免疫の効果をみるものである。他の一つは、ラット肺移植で、移植後最も早期に、しかも激しい拒絶反応を呈する気管支推伴リンパ組織(BALT)の動態を検討し、拒絶反応の細胞学的早期診断法を開発するものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 呼吸. 3-12. (1984)
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[Publications] 内科 Mook. No.29. (1985)
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[Publications] 医学のあゆみ. 133-12. (1985)
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[Publications] 気管支学. 7-4. (1985)
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[Publications] 外科治療. 54-2. (1986)