1986 Fiscal Year Annual Research Report
肺リンパ系と各種肺疾患の発症および進展との関連性に関する基礎的ならびに臨床的研究
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60440062
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡田 慶夫 滋医大, 医学部, 教授 (10106825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 晃 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80158237)
加藤 弘文 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (20111974)
森 渥視 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (80026971)
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Keywords | 肺のリンパ系 / 肺癌手術 / 縦隔リンパ節郭清 / 肺の輪出リンパ流 / 経リンパ性制癌剤投与 / 制癌剤含有マイクロスフエア / 制癌剤含有リポゾーム / 気管支髄伴組織 / 肺移植 |
Research Abstract |
1)肺の輪出リンパ流とこれを考慮しての肺癌手術術式の検討:肺の所属リンパ節が縦隔の両側に亘っていることから、これらの郭清法として胸骨切開下に肺切除術とともに両側縦隔リンパ節郭清法を積極的に適応することにした。また、肺から腹腔内に至る下行リンパ路が恒常的に見出されることから、下肺葉原発の1部の肺癌に対しては、開胸開腹下に肺葉切除とともに腹腔内リンパ節郭清を行なう手術術式を考案し、臨床的に施行した。 2)経リンンパ性制癌剤投与法の開発:家兎のリンパ管内に選択的に薬剤を注入する実験系を確立すると共に、リンパ節内の停留性にすぐれた剤型の制癌剤を用いて経リンパ性療法の開発を試みた。試用した制癌剤はアクラシノマイシン含有ポリ乳酸マイクロスフェアおよびポゾーム封入アドリアマイシンで、いずれも制癌剤単独投与に比べてはるかに良好な停留性がみられた。 3)気管支髄伴リンパ組識BALTの構造と機能とに関する研究:組識化学的ならびに電顕的観察にもとずき、BALTの気道内防禦反応における役割を検討した。その結果、BALTは気道内に侵入した抗原情報をリンパ系に伝達する門戸であり、またこれに対してリンパ球の旺盛な活性化がみられることを明らかにした。 4)肺移植における肺リンパ系の反応に関する研究:ラット肺の移植実験において、BALTの組織学的ならびに免疫組織学的変化を経時的に観察し、同組織が移植免疫反応において重要な役割を演ずることを明らかにした。とくに、BALT内のTリンパ球サブセットの変動と血中のそれとが平行することが判明したので、この現象を利用して早期拒絶反応の診断法を開発すべく努力している。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 岡田慶夫,高橋憲太郎 ほか: 外科治療. 54. 82-91 (1986)
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[Publications] 岡田慶夫,加藤弘文 ほか: 外科治療. 54. 215-220 (1986)
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[Publications] 岡田慶夫,加藤弘文,高橋憲太郎: 呼吸. 5. 990-994 (1986)
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[Publications] 岡田慶夫,加藤弘文,山中晃 ほか: 日本胸部疾患学会雑誌. 24. 1123-1130 (1986)
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[Publications] Okada,Y;Takahashi,K;Kato,H.et al: J.Clinical Electron Microscopy. 20. (1986)
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[Publications] 岡田慶夫: リンパ学. 10. (1987)
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[Publications] 岡田慶夫,加藤弘文,山中晃,高橋憲太郎: "外科Mook,NO45,新しい手術手技(縦隔郭清を伴う左肺摘出術)" 金原出版株式会社, 227 (1986)
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[Publications] Nagaishi,C;Okada,Y.ed. A.P.Fishman: "Pulmonary Diseases and Disorders(The Pulmonary Lymphatic System)" McGraw-Hill Book Co., (1987)