1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60440063
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川島 康生 大阪大学, 医, 教授 (10028425)
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Keywords | 心臓移植 / 脳死 / 経食道心エコー法 / 心筋保護 / warm induction / 高エネルギーリン酸化合物 |
Research Abstract |
1.臨床的検討-脳死後の心機能の経時的変化に関する検討。〔対象および方法〕症例は19才の男性で3階より転落し、脳挫傷,クモ膜下血腫と診断された。受傷翌日に血腫除去、減圧開頭術を施行するも、受傷3日目に脳死と診断された。この脳死診断は、日本脳波学会および大阪大学の診断基準に基づいた。本症について脳死診断後2日目より3週間にわたり経食道エコー法を用いて、心機能評価を行った。〔結果〕脳死後急激な血圧低下を来たしたが、アドレナリンおよびピトレッシン投与により循環は維持された。エコーによりfractional shorteningは40%前後とほぼ正常値を維持していた。しかし収縮期圧/収縮末期径比(SBP/Os)により検討すると、SBP/Dsは脳死後経時的に低下するものの12日月まではほぼ正常範囲内に留まっていたが以後著明に低下した。本症は脳死後54日目まで循環は維持されたが、心エコー上脳死後約2週間で心収縮性は低下していることが明らかとなった。 2.実験的検討-機能低下提供心の蘇生に関する実験的検討〔対象および方法〕雑種成犬6頭を40分間の温阻血後、以下の2群に分けた。【I】群は温阻血後ただちに冷却晶貭性心筋保護液を注入、局所冷却を併用した30分間の大動脈遮断後、再冠潅流した。【II】群は温阻血後warmblood cardio plegia液を60ml/分で4分間で注入した。その後【I】群と同様の操作をおこなった。〔結果〕大動脈遮断中、再冠潅流後のATPは【II】群において高い傾向にあり、Creatine Pnos chateは【II】群において有意に高値をとった。また同様に心筋内adenine nucleotide(AN)およびpurine cata-boliteCPC)の変動を検討した結果、【I】群では温阻血により蓄積したPCは心筋保護液注入後もほとんど同様のPCとして心筋内にとどまるのに対し、【II】群では蓄積したPCはANに回復することが示された。 以上より阻血心では、低温による心筋保護を行う前にwarm inductionを行なうことが有用であることが示された。
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