1985 Fiscal Year Annual Research Report
実験的脳梗塞における脳質過酸化反応の検出および脳保護物質の開発
Project/Area Number |
60440067
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 二郎 東北大学, 医, 教授 (50004536)
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Keywords | 虚血脳 / ESR(電子スピン共鳴法) / スピントラッピング法 / エネルギー代謝 / 超微弱発光 / 脂質過酸化 |
Research Abstract |
1. ラット虚血脳ホモジネートにおけるNADPH依存性脂質過酸化反応の進展とスピントラッピング法によるESR測定 【◯!1】ラット3主幹動脈閉塞モデルの脳ホモジネートにNADPH,Fe-EDTA,スピン捕捉剤PBNを添加後、20分間窒素中あるいは空気中にふ置する事により、An=16.2-16.5G,【A(^++_β)】=3.6-3.8GのESRシグナルが得られた。ここに捕捉されたラジカルは、NADPH濃度及び反応系の酸素濃度に依存することから、NADPH依存脂質過酸化系に由来するものと思われ、虚血脳よりも再潅流後の脳ホモジネートにおいてラジカル強度が増大し、再潅流脳では容易に上記反応系が進展し得るものと考えられた。 【◯!2】ラット断頭脳ホモジネートを窒素下にふ置し、同様の操作にて ESR測定を行った場合も、同様のシグナルが得られ、その強度は、マニトール,ビタミンE,ステロイド剤の前投与により減弱する事が明らかとなった。 2. ラット虚血脳におけるエネルギー代謝と脂質過酸化反応の相関 【◯!1】ラット3主幹動脈モデルを用いて、虚血中及び再潅流後のエネルギー代謝物(ATP,ADP,AMP)グルコース、乳酸を液体クロマトグラフィー及び蛍光酵素法にて測定すると、虚血5分にして著明なエネルギー代謝の低下及び乳酸の増加がみられ、30分間の再潅流後、いずれも改善をみるものの虚血前値には至らなかった。 【◯!2】同様の実験系において脳ホモジネートを用いた超微弱発光測定により、虚血中脳より再潅流後の脳ホモジネートにおいて、発光量の増加を認めた。 【◯!3】虚血前にマニトール,ビタミンE,ステロイド剤を併用投与する事により、超微弱発光量の減弱、即ち脂質過酸化反応の進展が有意に抑制される事が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)