1985 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎後湾による圧迫性脊髄麻痺の病態に関する実験的研究
Project/Area Number |
60440071
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
小野村 敏信 大阪医科大学, 医, 教授 (90025560)
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Keywords | 脊髄誘発電位 / 脊柱後弯変形 / 圧迫性脊髄麻痺 |
Research Abstract |
脊髄誘発電位の基本波形の測定のために、家兎、犬、猫において静脈麻酔後気管切開を行い、GOF麻酔下に胸椎部と腰椎部の椎弓切除を施行して硬膜外電極を挿入し、上行性と下行性の脊髄誘発電位を記録した。基本波形は主として二相性の陰性電位からなり、このバターンは各種動物においてほぼ共通していた。波形は持続時間が約0.8msecの棘波である第1電位とそれに続く持続時間が0.8〜1.6msecである第2電位とからなり、第1電位の振巾は第2電位よりも常に大きく、これは上行性および下行性電位ともに刺激の大きさによって変化することはなかった。また刺激の強さを閾値(T)、2T、3T、最大上刺激と変化させて記録したところ、閾値に関しては第1電位のほうが低く、第2電位の閾値は前者の約2〜4倍であった。各電位の振巾は刺激強度に従って増大し、第1電位は約200uV、第2電位は約70uVであった。潜時は電極間距離の増大とともに延長するが、電極間距離が15〜25cmで第1電位は約1.0〜2.5msec,第2電位は2.0〜3.4msecであった。脊髄阻血における波形の変化については、主として瀉血による全身血圧の低下により観察を行った。急速な低血圧状態においては、第1電位は刺激が2T〜3Tでは振巾が一過性に増大し、血圧低下後約10分後に最大となり以後除々に低下し、最大上刺激では直後より漸減する傾向にあり、緩徐な血圧低下においてはどの刺激条件でも第1電位は軽度な低下傾向を認めた。以上の結果より基本波形に関しては動物間の差はなく、個体差のより少ない家兎および猫による追試が適切と思われた。後弯変形を発生させるにあたっては家兎を用いて椎弓切除を行っているが、長時間の生存において飼育上の問題があり、実験的脊髄障害に至る強い後弯状態の作製までは現在のところ至っていない。
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