1985 Fiscal Year Annual Research Report
気管内麻酔中の非観血的循環動態評価法としての気管内心拍動波の研究
Project/Area Number |
60440074
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長野 政雄 慶応義塾大学, 医, 教授 (40051015)
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Keywords | 気管内麻酔 / 心原性拍動 / 心エコー図 / 心機能 / 心収縮期時相 / 心収縮力 |
Research Abstract |
気管内麻酔中、気管内チューブを介して心原性拍動に伴って得られる気管内心拍動波より心機能に関する情報を得ることを目的とした本研究は心エコー図と対比することにより検索が加えられた。 1 気管内心拍動波における圧変化を記録し、心電図との関係から心収縮期時相(STI)の解析を行った。その結果頸動脈圧波、心音図など従来の方法により得られる心収縮時相と心エコー法よりのSTIとの間で前駆出時間(PEP)、および左室駆出時間(LVET)に関し0.85,0.84の有意の相関がみられた。一方、気管内心拍動波と心エコー法とのSTIに関してはPEP,LVETについて0.91,0.96とさらに高い相関が得られた。このことは気管内心拍動波における圧変化波形の場合、弁の開閉運動に伴うと考えられる明瞭な棘波が認められるため時相の測定が容易であることがあげられる。また、心エコー法は大動脈弁の開閉運動をとらえ、これと心電図より得られるSTIは従来の方法に比べ、より正確といわれている。気管内心拍動波のSTIがこれと極めて高度の相関を示すことは、時相に関する情報を正確に提供することを示しており、さらに心エコー法と対比することで拡張期時相解析の可能性が示唆された。 2 気管内心拍動波における流量変化波形には、心収縮に引き続き生じる吸気方向の流量成分が認められ、この一次微分の最大値(max dF/dt)は、心筋の収縮力の指標として評価されており、心エコー法により求められた平均円周短縮速度(mVcf)との比較においては、相関係数が0.71と良好な相関が得られた。この様に心エコー法との比較からも示されるように、気管内に生じる心拍動波の解析により、心機能に関する情報をより高精度に抽出することが可能で、気管内麻酔中の心機能モニターとしての実用化につき今後引続き検索を続ける。
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